2007/10/31 アテネフランセ文化センターにて

 キューバに渡った移民とその子孫を追ったドキュメンタリー映画。移民一世は映画撮影開始時には二人だけ、現在では百歳になる男性一人となってしまったが、この二人の一世へのインタビューを柱に、四世までも含めての日系人たちの暮らしや考えを伝えてくれる。一世の二人の話は対照的である。一人はすべてを、第二次大戦中の敵国民としての収容所暮らしさえも楽しげに語るのだが、次から次に歌うのは軍歌をはじめとした日本の歌ばかり。もう一人は苦労話ばかりを語り、決して歌うことはないのだが、充分な医療を受けられること等、今の生活への感謝をしきりに口にする。他方、数年前に死んだ一世の父親の遺骨を故郷にある一族の墓に納骨しようと沖縄を訪れて、そのまま夫婦と息子で沖縄に暮らし始めてしまった家族の様子も描かれる。

 キューバへの移民という、あまり知られていない人々の歴史を発掘したという価値はあるが、作品としての質はあまり高くない。上映前に監督の波多野哲朗氏が挨拶の中で、自分は映画制作は素人なのでと述べていた通り、素人っぽさが弱点として出てしまった映画だった。全体に焦点が定まらず、「Cuba/Okinawa」という題名にもかかわらず、インタビューの中心になった二人の一世はどちらも沖縄出身ではなかったし、「サルサとチャンプルー」というサブタイトルを掲げていても沖縄に帰った家族についての描写は浅かったように思う。

por Andres

Andres y Amelia映画・テレビ 2007/10/31 アテネフランセ文化センターにて  キューバに渡った移民とその子孫を追ったドキュメンタリー映画。移民一世は映画撮影開始時には二人だけ、現在では百歳になる男性一人となってしまったが、この二人の一世へのインタビューを柱に、四世までも含めての日系人たちの暮らしや考えを伝えてくれる。一世の二人の話は対照的である。一人はすべてを、第二次大戦中の敵国民としての収容所暮らしさえも楽しげに語るのだが、次から次に歌うのは軍歌をはじめとした日本の歌ばかり。もう一人は苦労話ばかりを語り、決して歌うことはないのだが、充分な医療を受けられること等、今の生活への感謝をしきりに口にする。他方、数年前に死んだ一世の父親の遺骨を故郷にある一族の墓に納骨しようと沖縄を訪れて、そのまま夫婦と息子で沖縄に暮らし始めてしまった家族の様子も描かれる。  キューバへの移民という、あまり知られていない人々の歴史を発掘したという価値はあるが、作品としての質はあまり高くない。上映前に監督の波多野哲朗氏が挨拶の中で、自分は映画制作は素人なのでと述べていた通り、素人っぽさが弱点として出てしまった映画だった。全体に焦点が定まらず、「Cuba/Okinawa」という題名にもかかわらず、インタビューの中心になった二人の一世はどちらも沖縄出身ではなかったし、「サルサとチャンプルー」というサブタイトルを掲げていても沖縄に帰った家族についての描写は浅かったように思う。 por Andres退職者夫婦の旅と日常(スペイン・旅・留学・巡礼・映画・思索・本・・・)