パウロ・コエーリョ「11分間」
(角川書店 2004年3月刊)
ブラジルの田舎町からジュネーブに出てきて売春婦になった娘が、画家との出会いで真の愛を知る。そんなありふれた筋で、挟み込まれるエピソードにも目新しさはない。そして、画家との愛を振り切って予定通りにブラジルに帰ることにした彼女がトランジットのパリに先回りした画家に迎えられて、という結末には気恥ずかしさを感じてしまう。
これは、映画の宣伝文句によくある表現通りの、まさに「大人のためのファンタジー」だ。最初のページに「われわれはこの人生で、どの瞬間をとっても、片方の足をおとぎ話に、もう片方の足を奈落に置いて生きている・・・」と書かれているが、この作品は奈落をちらつかせながら「おとぎ話」を語っている。その語り口は確かに巧いのだが、読後に残るものは少ない。
por Andres
https://dosperegrinos.net/2010/06/02/%e3%83%91%e3%82%a6%e3%83%ad%e3%83%bb%e3%82%b3%e3%82%a8%e3%83%bc%e3%83%aa%e3%83%a7%e3%80%8c%ef%bc%91%ef%bc%91%e5%88%86%e9%96%93%e3%80%8d/書籍・雑誌(角川書店 2004年3月刊) ブラジルの田舎町からジュネーブに出てきて売春婦になった娘が、画家との出会いで真の愛を知る。そんなありふれた筋で、挟み込まれるエピソードにも目新しさはない。そして、画家との愛を振り切って予定通りにブラジルに帰ることにした彼女がトランジットのパリに先回りした画家に迎えられて、という結末には気恥ずかしさを感じてしまう。 これは、映画の宣伝文句によくある表現通りの、まさに「大人のためのファンタジー」だ。最初のページに「われわれはこの人生で、どの瞬間をとっても、片方の足をおとぎ話に、もう片方の足を奈落に置いて生きている・・・」と書かれているが、この作品は奈落をちらつかせながら「おとぎ話」を語っている。その語り口は確かに巧いのだが、読後に残るものは少ない。 por AndresAndres y Amelia SubscriberDos Peregrinos
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