ストラスブールの街で画家の青年がシルビアという名の女性を探す。

前半は、青年がカフェに座って周りの客たちを観察し、その中の何人かの女性をスケッチする場面が延々と続く。聞こえてくるのは街のざわめきと客たちの話し声。

一人の女性客に目が行き、スケッチをはじめる。他の客の頭が邪魔になって、青年は椅子をずらして彼女の姿をとらえ直す。スケッチノートから視線を戻してみると、彼女は消えている。通りを探すと、彼女が去って行くのが見える。あわてて彼女を追い、後をつけて行く。街の喧騒が取り巻く。彼女はいくつもの角を曲がり、同じ通りに何度も出る。青年はやがて彼女に近付き「シルビ」と声をかけるが、彼女は振り向かない。また少し距離を置いて青年は後をつける。トラムに乗った彼女を追って青年も乗り込み、車内で彼女に近付いて話しかける。6年前にバーで会ったシルビアだろうと問いかけるが、彼女は人違いだと答える。勘違いだったと気付いて落胆する青年。彼女は、次の駅で降りるけど一緒に降りないで、シルビアに会えればいいわね、と言って去って行く。青年はまた次の日も街を歩き回る。シルビアを探して、あるいは昨日の彼女を探して。

セリフらしいセリフはトラム内での二人の短い会話だけ。あとは街のざわめきとその一部になっているとぎれとぎれの話し声。

青年とシルビアの関係も明らかにはされない。恋人だったのか友人だったのか。なぜ6年前に別れたのか。なぜ6年後に探しているのか。

この映画の主題は、特別の出来事が起るわけでもない街の日常風景であり、それ以上にありふれた街の音だと受け取った。これだけで観る者を85分間、惹きつけ続ける。上質な作品と言える。

por Andres

Andres y Amelia映画・テレビストラスブールの街で画家の青年がシルビアという名の女性を探す。 前半は、青年がカフェに座って周りの客たちを観察し、その中の何人かの女性をスケッチする場面が延々と続く。聞こえてくるのは街のざわめきと客たちの話し声。 一人の女性客に目が行き、スケッチをはじめる。他の客の頭が邪魔になって、青年は椅子をずらして彼女の姿をとらえ直す。スケッチノートから視線を戻してみると、彼女は消えている。通りを探すと、彼女が去って行くのが見える。あわてて彼女を追い、後をつけて行く。街の喧騒が取り巻く。彼女はいくつもの角を曲がり、同じ通りに何度も出る。青年はやがて彼女に近付き「シルビ」と声をかけるが、彼女は振り向かない。また少し距離を置いて青年は後をつける。トラムに乗った彼女を追って青年も乗り込み、車内で彼女に近付いて話しかける。6年前にバーで会ったシルビアだろうと問いかけるが、彼女は人違いだと答える。勘違いだったと気付いて落胆する青年。彼女は、次の駅で降りるけど一緒に降りないで、シルビアに会えればいいわね、と言って去って行く。青年はまた次の日も街を歩き回る。シルビアを探して、あるいは昨日の彼女を探して。 セリフらしいセリフはトラム内での二人の短い会話だけ。あとは街のざわめきとその一部になっているとぎれとぎれの話し声。 青年とシルビアの関係も明らかにはされない。恋人だったのか友人だったのか。なぜ6年前に別れたのか。なぜ6年後に探しているのか。 この映画の主題は、特別の出来事が起るわけでもない街の日常風景であり、それ以上にありふれた街の音だと受け取った。これだけで観る者を85分間、惹きつけ続ける。上質な作品と言える。 por Andres退職者夫婦の旅と日常(スペイン・旅・留学・巡礼・映画・思索・本・・・)