相変わらずユーロ安が続いている。格付け会社S&Pがフランス国債の格付けを一段階引き下げたことでユーロ安は一層進み、ついに1€が100円を切るにまで到った。一旦100円台に戻したものの、今度はムーディーズ がイタリア、スペイン等の国債を格下げした。
これらはギリシアの財政危機に端を発すると言われ、昨年来盛んにギリシア政府が批判されてきた。その当否の度合いを判断する材料を持ち合わせていない。しかし見落としてならないのは、経済的財政的に弱いギリシアをユーロの一員に加えれば多かれ少なかれこのような事態に至るのは予想できたということだ。にもかかわらずギリシアをユーロに迎え入れたのは、ドイツなどが市場拡大による利益を見込んだからだったのではないか。であれば、危機に陥ったギリシアをドイツが支援するのは当然だし、また将来のドイツの利益にもつながるのだろう。ドイツにとっての問題は、現在の支援よりも将来の利益が上回るかどうかだけなはずだ。
しかし今言いたいのはそんなことではない。問題にしたいのは格付け会社であり、それ以上にまたもや日本のメディアの姿勢である。まず、格付け会社は公平無私ではないというあまりにも当たり前のことから始めなければならない。格付け会社は単なる一企業に過ぎず、当然のことながら利益追求のために活動している。もちろん格付けが「正確」であることは求められるが、所詮「予測」でしかありえず、しかも格付けは投資家のために行われているのだから、求められているのは投資家にとっての「正確さ」であって、それ以上のものではない。実態を反映しているか否かに関わらず、上位に格付けされた債券や株式、あるいは国家や企業は、それによって買い 進まれ「安定」する。逆に下位にランク付けされると売り込まれて「不安定」となって、最悪の場合は破綻する。一見、格付け会社の評価は適正だったかに思えるが、「アナウンス効果」に過ぎないとも言える。つま り、格付け会社が、あるいは格付け会社を利用して金融市場を操作する者が、莫大な利益をあげることは容易だということだ。そして格付け会社の最大の顧客が金融機関なのだから、彼らの利益をはかるのが格付け会社の利益でもあることは自明だろう。サブプライムローンを巡る動きを見れば、これが憶測ではないことは明らかだろう。
だが、これもここで述べたいことの第一ではない。このような格付け会社の発表をあたかも神の声のように報じるメディア。それを批判したいのでもない。メディアもまた格付け会社と同様の営利企業なのだから、顧客、つまり広告主の利益をはかるのは当然なのだ。問題 なのは広告主の利益をはかっているにもかかわらず、「公平中立」な報道などという馬鹿げたことを臆面もなく標榜していることだ。もしメディアが自身を「公平中立」と本気で信じて報道にあたっているのなら、かれらは限りなくお目出度いお馬鹿さんだし、そうでなければ厚顔無恥な詐欺師だ。『赤旗』が共産党機関紙と明記しているように、各メディアも政治欄は政府広報紙、経済欄は経団連機関紙、三面は警察広報版というように実態を反映した標記をすべきなのだ。しかしかれらが自らそうした標記を行うことはあり得ない。「お馬鹿さん」なら自己の正体に気付くことはできないだろうし、「詐欺師」なら正体を 明かそうとはしないだろうから。
今、私たちがメディアに対して行うべきこと、行えることは、疑い続けることとその嘘を暴き続けることだ。残念なことにマスメディアはまだ大きな影響力を持っているのだから。

Andres y Amelia日記・コラム・つぶやき相変わらずユーロ安が続いている。格付け会社S&Pがフランス国債の格付けを一段階引き下げたことでユーロ安は一層進み、ついに1€が100円を切るにまで到った。一旦100円台に戻したものの、今度はムーディーズ がイタリア、スペイン等の国債を格下げした。 これらはギリシアの財政危機に端を発すると言われ、昨年来盛んにギリシア政府が批判されてきた。その当否の度合いを判断する材料を持ち合わせていない。しかし見落としてならないのは、経済的財政的に弱いギリシアをユーロの一員に加えれば多かれ少なかれこのような事態に至るのは予想できたということだ。にもかかわらずギリシアをユーロに迎え入れたのは、ドイツなどが市場拡大による利益を見込んだからだったのではないか。であれば、危機に陥ったギリシアをドイツが支援するのは当然だし、また将来のドイツの利益にもつながるのだろう。ドイツにとっての問題は、現在の支援よりも将来の利益が上回るかどうかだけなはずだ。 しかし今言いたいのはそんなことではない。問題にしたいのは格付け会社であり、それ以上にまたもや日本のメディアの姿勢である。まず、格付け会社は公平無私ではないというあまりにも当たり前のことから始めなければならない。格付け会社は単なる一企業に過ぎず、当然のことながら利益追求のために活動している。もちろん格付けが「正確」であることは求められるが、所詮「予測」でしかありえず、しかも格付けは投資家のために行われているのだから、求められているのは投資家にとっての「正確さ」であって、それ以上のものではない。実態を反映しているか否かに関わらず、上位に格付けされた債券や株式、あるいは国家や企業は、それによって買い 進まれ「安定」する。逆に下位にランク付けされると売り込まれて「不安定」となって、最悪の場合は破綻する。一見、格付け会社の評価は適正だったかに思えるが、「アナウンス効果」に過ぎないとも言える。つま り、格付け会社が、あるいは格付け会社を利用して金融市場を操作する者が、莫大な利益をあげることは容易だということだ。そして格付け会社の最大の顧客が金融機関なのだから、彼らの利益をはかるのが格付け会社の利益でもあることは自明だろう。サブプライムローンを巡る動きを見れば、これが憶測ではないことは明らかだろう。 だが、これもここで述べたいことの第一ではない。このような格付け会社の発表をあたかも神の声のように報じるメディア。それを批判したいのでもない。メディアもまた格付け会社と同様の営利企業なのだから、顧客、つまり広告主の利益をはかるのは当然なのだ。問題 なのは広告主の利益をはかっているにもかかわらず、「公平中立」な報道などという馬鹿げたことを臆面もなく標榜していることだ。もしメディアが自身を「公平中立」と本気で信じて報道にあたっているのなら、かれらは限りなくお目出度いお馬鹿さんだし、そうでなければ厚顔無恥な詐欺師だ。『赤旗』が共産党機関紙と明記しているように、各メディアも政治欄は政府広報紙、経済欄は経団連機関紙、三面は警察広報版というように実態を反映した標記をすべきなのだ。しかしかれらが自らそうした標記を行うことはあり得ない。「お馬鹿さん」なら自己の正体に気付くことはできないだろうし、「詐欺師」なら正体を 明かそうとはしないだろうから。 今、私たちがメディアに対して行うべきこと、行えることは、疑い続けることとその嘘を暴き続けることだ。残念なことにマスメディアはまだ大きな影響力を持っているのだから。 『ココろいど』から投稿退職者夫婦の旅と日常(スペイン・旅・留学・巡礼・映画・思索・本・・・)