9時20分にホテルをチェックアウト。スーツケースはホテルに預けて出かける。ホテルの向かいにある王宮は10時からしか開かないので、時間節約も兼ねて一番遠い「農夫の家」に向かう。「王子の庭園」を抜けて行く。

朝で、しかも緑のあふれる庭園内なので暑くない。散歩をする人も多く、学校の遠足なのか幾組かの小学生やDSC01331中学生ほどのグループも見かける。庭園内では川から引いた水を随所に流し、地面を掘っただけの溝から染み込ませている。最後は水溜りにして灌漑を終えている。このくらい水をやらないとこの辺りでは緑一杯とはならないのだろう。おかげで花も咲き、大木も育って森のような公園になっている。

「農夫の家」に着いたのは10時10分。開DSC01342館したところでちょうどよい時間。そう思って入場券を買おうとすると、「ここでは売ってない。王宮でしか売っていない」とのこと。何という馬鹿げたシステム。30分も歩いてきたのに入れない。係に文句を言っても仕方ないが、本当に腹立たしい。しかもバスなどの便もなく、歩くしかないとのこと。仕方なく王宮まで歩いて戻る。

気温が上昇してきて、庭園を離れると日向を歩かなければならないことが多く、汗をかく。

王宮内は各部屋を巡る見学路を歩きまわることになる。贅沢な調度品、肖像画、天井や壁の装飾。一部屋はアルハンブラを模倣した、しかもカラフルな部屋になっていて、しかしやはりアルハンブラには及ばないのは明らか、という感じ。王宮の二階部分がほぼ見て回れるようになっている。マドリーの王宮を小規模にしたようなもの。最後の部屋には現国王一家の結婚衣装の展示。

王宮内の自動販売機で缶コーラを買う。0.7€、現在のレートでは非常に安く、よく冷えていて熱気の中では救われる。

再び「王子の庭園」の方に向かう。途中で「王家の小舟博物館」を見学。歴代の王室がタホ川での舟遊びに使った小舟DSC01351(屋根付きでソファー状になった王族が座る部分と、十人ほどの漕ぎ手の座席)が10隻ほど展示されている。中の1隻は木彫りに金の装飾が施されていて、オールを使う部分がないので不思議に思う。訊ねてみると、これは飾りで舟としては使われないとのこと。IMGP5361

さらに「王子の庭園」を進む。クジャクが数羽歩きまわっている。

「農夫の家」に着いてやっと入れると思ったら、今度は「ここはガイド付きでしか入れない。ガイド付きの入場券は王宮でしか売っていない」と言う。なぜここでは売らないのか尋ねると、「人手が足りないから」などと理由にもならないことを答える。「こんなシステムはあまりに馬鹿げている」と言うと、係も「そうだ」と同調はするものの、何の解決にも気休めにもならない。こんなふざけ切ったシステムを続けているのはスペイン文化省か、王室か。ガイドブックにも「王宮」「小舟博物館」「農夫の家」の三か所共通の入場券で9€としか書いてなく、王宮でしか売っていないとか、ガイドなしでは入れないとか、ガイド付きの入場券は別物だ等、最も必要な事が書かれていない。昨夜は気に入って、暑さは耐えられないから春か秋にもう一度来てみたいと思っていたが、これですっかりアランフェスは嫌いになってしまった。ついでにロドリゴも「アランフェス協奏曲」も二度と聴きたくなくなった。

すっかり猛暑になってしまった中を王宮方向へ歩いて戻る。ベンチで一休みしていると、地元新聞社の記者が猛暑の取材で、私たちの写真を撮らせてくれと言ってくる。日焼けを気にしないスペイン人に対して、Ameliaが長袖のTシャツ、日焼け防止手袋、スカーフ、サングラス、帽子という完全武装姿が珍しかったようだ。残念ながらローカル紙なので翌朝の紙面を見ることはできなかった。DSC01366

王宮手前のレストラン「Rana Verde」で昼食。Menú del Día。ガスパッチョとビシソワーズが冷たくておいしい。メインのラザーニャと牛肉の煮込みもおいしい。ポストレとコーヒーもとって大満足。「農夫の家」での怒りがようやくおさまる。DSC01360DSC01361

 

 

 

 

 


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王宮の裏手に回り「島の庭園」IMGP5382へ。タホ川の堰がありアヒルやカモが魚を狙ってか堰の流れにたくさん立っている。もう、林の中の日陰を歩いても暑くてたまらない。

 

 

ホテルに戻り、ロビーで少し涼む。スーツケースを受け取り、タクシーを呼んでもらう。レセプションの人がマドリー周辺では40度になっているから水分を十分取るように、と言ってくれる。十数分待ってタクシーが来る。運転手もやはり40度で猛暑の話。アランフェスも6月から8月は暑い、9月には少しましになるが、とのこと。冬は冬で寒さが厳しく、氷点下5~10度になるそうだ。

駅のホームは当然ものすごいDSC01374暑さ。10分ほどでチャマルティン行きが来たので乗り込む。次の駅に止まらないので車内のディスプレーを確かめると、この電車は快速でアトーチャ駅にしか止まらない。Nuevos Ministeriosで地下鉄に乗り換えてBarajas空港に行くつもりなので、アトーチャで降りて各駅停車に乗り換えることにする。車外は摂氏40度との表示。

空港に着くと地下鉄の特別料金一人3€。随分高くなったものだ。地下鉄の回数券も12€。東京と比べれば安いが、以前のスペインからは考えられない高さ。スペイン人の生活は厳しいと想像される。

空港のカフェでしばらく休憩。お土産を買おうと店を探すが、チェックイン前の部分にはキオスク程度のものしかない。クッキーだけを買って、シャトルバスに乗ってホテルに向かう。バスを待つ間も熱暑でクラクラしそう。

ホテルではチェックインで待たされる。バスで何組もの客が着いたのに、受け付けは一人だけ。優秀な女性で、チェックイン手続きをしながら電話も受け、スペイン語はもちろん、英語とフランス語を使い分けて応対していた。私たちのチェックイン時には明日の飛行機の時間を尋ね、10時30分ごろと言うと、8時にロビーに来るようにと言ってくれる。

部屋に入って早速シャワー。冷房の利いた部屋でやっとすっきりする。23時近くになって散歩に出てみるが、DSC01376暑さは全く衰えておらず、バス停の電光掲示板では38度を示していた。中国人経営の店が開いていたのでアイスクリームを買って食べ、ATMで200€引き出しただけで早々にホテルに逃げ帰る。散歩をしている人はごくわずか。この辺りは空港利用者のためのホテル以外は、少し荒れ気味の住宅街といった雰囲気だからか、暑すぎるためか。

poe Andrés

Andres y Amelia海外旅行9時20分にホテルをチェックアウト。スーツケースはホテルに預けて出かける。ホテルの向かいにある王宮は10時からしか開かないので、時間節約も兼ねて一番遠い「農夫の家」に向かう。「王子の庭園」を抜けて行く。 朝で、しかも緑のあふれる庭園内なので暑くない。散歩をする人も多く、学校の遠足なのか幾組かの小学生や中学生ほどのグループも見かける。庭園内では川から引いた水を随所に流し、地面を掘っただけの溝から染み込ませている。最後は水溜りにして灌漑を終えている。このくらい水をやらないとこの辺りでは緑一杯とはならないのだろう。おかげで花も咲き、大木も育って森のような公園になっている。 「農夫の家」に着いたのは10時10分。開館したところでちょうどよい時間。そう思って入場券を買おうとすると、「ここでは売ってない。王宮でしか売っていない」とのこと。何という馬鹿げたシステム。30分も歩いてきたのに入れない。係に文句を言っても仕方ないが、本当に腹立たしい。しかもバスなどの便もなく、歩くしかないとのこと。仕方なく王宮まで歩いて戻る。 気温が上昇してきて、庭園を離れると日向を歩かなければならないことが多く、汗をかく。 王宮内は各部屋を巡る見学路を歩きまわることになる。贅沢な調度品、肖像画、天井や壁の装飾。一部屋はアルハンブラを模倣した、しかもカラフルな部屋になっていて、しかしやはりアルハンブラには及ばないのは明らか、という感じ。王宮の二階部分がほぼ見て回れるようになっている。マドリーの王宮を小規模にしたようなもの。最後の部屋には現国王一家の結婚衣装の展示。 王宮内の自動販売機で缶コーラを買う。0.7€、現在のレートでは非常に安く、よく冷えていて熱気の中では救われる。 再び「王子の庭園」の方に向かう。途中で「王家の小舟博物館」を見学。歴代の王室がタホ川での舟遊びに使った小舟(屋根付きでソファー状になった王族が座る部分と、十人ほどの漕ぎ手の座席)が10隻ほど展示されている。中の1隻は木彫りに金の装飾が施されていて、オールを使う部分がないので不思議に思う。訊ねてみると、これは飾りで舟としては使われないとのこと。 さらに「王子の庭園」を進む。クジャクが数羽歩きまわっている。 「農夫の家」に着いてやっと入れると思ったら、今度は「ここはガイド付きでしか入れない。ガイド付きの入場券は王宮でしか売っていない」と言う。なぜここでは売らないのか尋ねると、「人手が足りないから」などと理由にもならないことを答える。「こんなシステムはあまりに馬鹿げている」と言うと、係も「そうだ」と同調はするものの、何の解決にも気休めにもならない。こんなふざけ切ったシステムを続けているのはスペイン文化省か、王室か。ガイドブックにも「王宮」「小舟博物館」「農夫の家」の三か所共通の入場券で9€としか書いてなく、王宮でしか売っていないとか、ガイドなしでは入れないとか、ガイド付きの入場券は別物だ等、最も必要な事が書かれていない。昨夜は気に入って、暑さは耐えられないから春か秋にもう一度来てみたいと思っていたが、これですっかりアランフェスは嫌いになってしまった。ついでにロドリゴも「アランフェス協奏曲」も二度と聴きたくなくなった。 すっかり猛暑になってしまった中を王宮方向へ歩いて戻る。ベンチで一休みしていると、地元新聞社の記者が猛暑の取材で、私たちの写真を撮らせてくれと言ってくる。日焼けを気にしないスペイン人に対して、Ameliaが長袖のTシャツ、日焼け防止手袋、スカーフ、サングラス、帽子という完全武装姿が珍しかったようだ。残念ながらローカル紙なので翌朝の紙面を見ることはできなかった。 王宮手前のレストラン「Rana Verde」で昼食。Menú del Día。ガスパッチョとビシソワーズが冷たくておいしい。メインのラザーニャと牛肉の煮込みもおいしい。ポストレとコーヒーもとって大満足。「農夫の家」での怒りがようやくおさまる。                   ...退職者夫婦の旅と日常(スペイン・旅・留学・巡礼・映画・思索・本・・・)