東京都美術館で開かれている「エル・グレコ展」を観てきた。入場前に西洋美術館の学芸員の方から1時間半ほどの解説があった。

ギリシア人のグレコは、イタリアでの修業後にスペインに渡り、そこで独自の画風を維持した誇り高い画家で、注文主の意向に逆らうことも少なくなかったこと。祭壇画などの大作のレプリカをいくつも残しているが、必ずしもレプリカの方が価値が低いというわけではなく、「工房」として作品を制作していた当時においては、むしろ小品のレプリカの方こそがグレコの真筆の可能性があること。東方教会の文化の中でイコン画家として出発したグレコがカトリックのスペインで大成した経緯など興味深い講演だった。

展覧会は、東京でのこの手のものとしては混み方は少なかった。

最近はグレコがどうにも好きになれない。若い頃、もう30年以上も前になるが、トレドでグレコの作品にはじめて直に接した時は、相当気に入ったのだが。縦にデフォルメされる人物像だとか燃え上がる炎のようにねじれて上昇する構図が気に入らないのではない。どれもが「粗製乱造」のように見えてしまうのだ。

というわけでグレコの作品よりも解説の方に興味を引かれるという本末転倒の展覧会になってしまった。

por Andrés

Andres y Amelia文化・芸術東京都美術館で開かれている「エル・グレコ展」を観てきた。入場前に西洋美術館の学芸員の方から1時間半ほどの解説があった。 ギリシア人のグレコは、イタリアでの修業後にスペインに渡り、そこで独自の画風を維持した誇り高い画家で、注文主の意向に逆らうことも少なくなかったこと。祭壇画などの大作のレプリカをいくつも残しているが、必ずしもレプリカの方が価値が低いというわけではなく、「工房」として作品を制作していた当時においては、むしろ小品のレプリカの方こそがグレコの真筆の可能性があること。東方教会の文化の中でイコン画家として出発したグレコがカトリックのスペインで大成した経緯など興味深い講演だった。 展覧会は、東京でのこの手のものとしては混み方は少なかった。 最近はグレコがどうにも好きになれない。若い頃、もう30年以上も前になるが、トレドでグレコの作品にはじめて直に接した時は、相当気に入ったのだが。縦にデフォルメされる人物像だとか燃え上がる炎のようにねじれて上昇する構図が気に入らないのではない。どれもが「粗製乱造」のように見えてしまうのだ。 というわけでグレコの作品よりも解説の方に興味を引かれるという本末転倒の展覧会になってしまった。 por Andrés退職者夫婦の旅と日常(スペイン・旅・留学・巡礼・映画・思索・本・・・)