原田マハの画家シリーズとも言うべき作品の一つ。この作品はゴッホを題材としたもの。パリで浮世絵を主に扱う画商の日本人二人と、ゴッホとその弟を主な登場人物として、ゴッホを支え振り回される弟の動きを通してゴッホの作品の誕生を描いている。

ゴッホに限らず、天才的芸術家を描いた小説や伝記を読むたびに感じるのは、遠くから見ている分には興味深いが、こんな人がそばにいたら迷惑だろうな、ということ。一方この作品での弟のように、翻弄されながらも支え続ける人の存在が天才を生み出したのだとも言える。それがなければ「天才」もその才能を発揮することなく周囲から疎まれるだけで生涯を終え、忘れ去られるだけなのだろう。

印象に残ったのは、最後に語られる日本人画商の一人の言葉、「自分で価値を見出すことはせず、むしろ他人が価値を認めたものを容認する、それが日本人の特性だ。だから、フランスなりイギリスなりアメリカなり、日本以外の国で認められた芸術を、彼らは歓迎するのだ」。舞台となった時代から100年以上を経ても、日本人は変わっていないのか。

/images/2023/01/6e31e715775c4113c999dbd10d04a830-700x1049.jpg/images/2023/01/6e31e715775c4113c999dbd10d04a830-150x150.jpgAndrés書籍・雑誌たゆたえども沈まず,ゴッホ,原田マハ,浮世絵原田マハの画家シリーズとも言うべき作品の一つ。この作品はゴッホを題材としたもの。パリで浮世絵を主に扱う画商の日本人二人と、ゴッホとその弟を主な登場人物として、ゴッホを支え振り回される弟の動きを通してゴッホの作品の誕生を描いている。 ゴッホに限らず、天才的芸術家を描いた小説や伝記を読むたびに感じるのは、遠くから見ている分には興味深いが、こんな人がそばにいたら迷惑だろうな、ということ。一方この作品での弟のように、翻弄されながらも支え続ける人の存在が天才を生み出したのだとも言える。それがなければ「天才」もその才能を発揮することなく周囲から疎まれるだけで生涯を終え、忘れ去られるだけなのだろう。 印象に残ったのは、最後に語られる日本人画商の一人の言葉、「自分で価値を見出すことはせず、むしろ他人が価値を認めたものを容認する、それが日本人の特性だ。だから、フランスなりイギリスなりアメリカなり、日本以外の国で認められた芸術を、彼らは歓迎するのだ」。舞台となった時代から100年以上を経ても、日本人は変わっていないのか。退職者夫婦の旅と日常(スペイン・旅・留学・巡礼・映画・思索・本・・・)