映画「マリア」を観た。原題は"THE NATIVITY STORY"。
 チラシには「今まで語られることのなかったイエス・キリスト誕生までの母マリアと夫ヨセフの物語」とあるが、何故ここまでとんでもないでたらめを記さなければならないのか、まったく理解できない。この映画が描いているのは、毎年クリスマスの時期に世界中のキリスト教徒の家庭や教会の日曜学校などで、繰り返し繰り返し子供たちに語られてきたキリスト誕生の物語そのままなのだから。そこには聖書に対する新しい解釈も深い理解もなく、演出や映像の新しさも深さもない。あるのはただただ「泰西名画」のマリア像であり、子供向け聖書物語のイスラエルの風景であり、クリスマスカードに印刷された三博士であり、この時期あちこちの教会に飾られている馬小屋の姿。
 3年ほど前に公開された「パッション」という映画も、新約聖書の記述をなぞっただけのものだが、それでも特にゲッセマネでの捕縛から十字架にかけられるまでの眼を背けたくなるような、肉が裂け血が流れイエスの苦痛に歪む表情が連続するリアルさが衝撃を与え話題を呼んだ作品だった。それと比較してもこの「マリア」に対しては、ちょっと両手を開いて、口元をいくらか歪めて首を傾げながら左右に振って、「困ったもんだ」という表情を浮けべてみるしかない。
 本当に、困ったもんだ。

por Andres

Andres y Amelia映画・テレビ 映画「マリア」を観た。原題は"THE NATIVITY STORY"。 チラシには「今まで語られることのなかったイエス・キリスト誕生までの母マリアと夫ヨセフの物語」とあるが、何故ここまでとんでもないでたらめを記さなければならないのか、まったく理解できない。この映画が描いているのは、毎年クリスマスの時期に世界中のキリスト教徒の家庭や教会の日曜学校などで、繰り返し繰り返し子供たちに語られてきたキリスト誕生の物語そのままなのだから。そこには聖書に対する新しい解釈も深い理解もなく、演出や映像の新しさも深さもない。あるのはただただ「泰西名画」のマリア像であり、子供向け聖書物語のイスラエルの風景であり、クリスマスカードに印刷された三博士であり、この時期あちこちの教会に飾られている馬小屋の姿。 3年ほど前に公開された「パッション」という映画も、新約聖書の記述をなぞっただけのものだが、それでも特にゲッセマネでの捕縛から十字架にかけられるまでの眼を背けたくなるような、肉が裂け血が流れイエスの苦痛に歪む表情が連続するリアルさが衝撃を与え話題を呼んだ作品だった。それと比較してもこの「マリア」に対しては、ちょっと両手を開いて、口元をいくらか歪めて首を傾げながら左右に振って、「困ったもんだ」という表情を浮けべてみるしかない。 本当に、困ったもんだ。 por Andres退職者夫婦の旅と日常(スペイン・旅・留学・巡礼・映画・思索・本・・・)