被災地の復興は、もちろん少しずつ進んではいるが、被災者の多くは復興は遅れていると感じている。当然のことだ。第三者にとってはあっという間の6年間だったかもしれないが、当事者にとってみればいつまでも日常を取り戻せない長い日々だっただろうから。復興の遅れの原因は資材と労働力の不足。それは、オリンピック関連の工事や景気対策という名の不要不急の公共工事によってもたらされた部分が大きい。目先の利益と空虚な高揚感を作り出すことで権力の強化を図る政府と、それに随伴して踊る人々が、被災地を置き去りにし、莫大な借金と巨額の維持費を必要とする施設を産み出して後世に返済不能な負債を押し付け続けている。
原発被災地はさらにひどい状況にされている。除染が進められたとは言っても、それは「除染」ではなく「移染」と言うべきもので、汚染された土をこちらからあちらに移動したに過ぎない。そして積み上げられた汚染物質はどこに行くのか。これに加えて原発再稼働は着々と進められ日々放射性廃棄物が増産されているが、もちろんその処理方法の目処さえ立っていない。一方でかつて原発の安全性を喧伝していた自民党や「原子力村」の住民たちは、またぞろ何の根拠もなく原発の安全性を唱えている。安倍から東電の社員に至るまで「科学的根拠に基づいた世界一の安全基準をクリアしている」と言う。しかしかつて安全を喧伝した人々は、自らが何処でどう間違え、それをどう検証し、その責任をどう明らかにし負っただろうか。これらの過程を抜きにして「安全」と唱えるのは、どんなに科学的装いを凝らしていても迷信でしかない。
6年が過ぎて、都会の街中には無駄な照明が煌々と点けられているが、状況は暗くなるばかりなように見える。
por Andrés

Andrés政治・経済・国際日記・コラム・つぶやき被災地の復興は、もちろん少しずつ進んではいるが、被災者の多くは復興は遅れていると感じている。当然のことだ。第三者にとってはあっという間の6年間だったかもしれないが、当事者にとってみればいつまでも日常を取り戻せない長い日々だっただろうから。復興の遅れの原因は資材と労働力の不足。それは、オリンピック関連の工事や景気対策という名の不要不急の公共工事によってもたらされた部分が大きい。目先の利益と空虚な高揚感を作り出すことで権力の強化を図る政府と、それに随伴して踊る人々が、被災地を置き去りにし、莫大な借金と巨額の維持費を必要とする施設を産み出して後世に返済不能な負債を押し付け続けている。 原発被災地はさらにひどい状況にされている。除染が進められたとは言っても、それは「除染」ではなく「移染」と言うべきもので、汚染された土をこちらからあちらに移動したに過ぎない。そして積み上げられた汚染物質はどこに行くのか。これに加えて原発再稼働は着々と進められ日々放射性廃棄物が増産されているが、もちろんその処理方法の目処さえ立っていない。一方でかつて原発の安全性を喧伝していた自民党や「原子力村」の住民たちは、またぞろ何の根拠もなく原発の安全性を唱えている。安倍から東電の社員に至るまで「科学的根拠に基づいた世界一の安全基準をクリアしている」と言う。しかしかつて安全を喧伝した人々は、自らが何処でどう間違え、それをどう検証し、その責任をどう明らかにし負っただろうか。これらの過程を抜きにして「安全」と唱えるのは、どんなに科学的装いを凝らしていても迷信でしかない。 6年が過ぎて、都会の街中には無駄な照明が煌々と点けられているが、状況は暗くなるばかりなように見える。 por Andrés退職者夫婦の旅と日常(スペイン・旅・留学・巡礼・映画・思索・本・・・)