森友学園問題をめぐって、籠池理事長、財務省等の官僚、大阪府、そして安倍首相夫妻など、誰にどんな責任があるのかが問われている。籠池氏が示したファックスなどや国会での証言、財務省等が廃棄したとする書類、大阪府や教委での処理経過、安倍昭恵氏の言動。これらを具体的に検証することはもちろん欠かせない。だが本質的に重要なのはこのところ「忖度」と呼ばれている一種の「同調圧力」、もっと言えば「暗黙の強制」だ。つまり安倍昭恵氏が名誉校長となっているだけで、具体的に何かを指示しなくても周囲は森友学園の利益を図る方向に動くということ。そこでは当然、籠池氏は森友学園の利益にかなう行動を合法的に成しただろう。官僚や大阪府や教委は、特に誰からの依頼や指示や命令がなくとも、森友学園の有利になるような方策をとっただろう。安倍夫妻は、森友学園の利益をはかるような具体的な依頼も指示も命令も出さなかっただろう。結局、法的には誰も責任は問われないのだ。籠池氏だけは詐欺や文書偽造などに問われる可能性があるが、それはこの問題の本筋ではない。
では誰にどんな責任があるのか。関係者全員に責任があると言ってしまえばその通りなのだが、それでは逆に真の責任の所在が曖昧になってしまう。これこそが戦争責任問題との共通点だ。私たちはアジア太平洋戦争の責任追及を東京裁判に全面的に依存し、一方では一億総懺悔で責任の所在を曖昧にすることに同意した。同じ轍を踏まないためには、関係者全員の責任の追及だけでなく、最も本質的な責任の所在を明らかにして行かなければならない。要するに安倍首相の責任を問うということだ。法的にではない。
彼は総理大臣の孫、外務大臣の子として育つ中で、権力の持つ威力がどのように働くかを学んできたはずだ。つまり自分の意向を明示しなくても、ほんの少しほのめかすだけで周囲が動くことを、さらには単に関心を示しただけでも「忖度」して彼の希望を叶えてくれることを。こんなことを安倍首相にぶつけてみても、彼は「そんなことは考えていないし、反証しようのないことを言われても答えようがない。それに、皆さんはそんなに人の顔色ばかりうかがって動いているのですか?それこそ官僚の皆さんに失礼じゃないですか。」と言うだろう。ここにこそ本質的な問題がある。一方には、絶対に責任追及を受けることのない安全圏にいて権力を行使する者がいて、他方に権力者の意向に沿うことを第一に考えて行動する人々がいて国を動かしているということ。これはまさに独裁政治の病そのものだし、日本はこの病に深く蝕まれているのだ。今、私たちはこの状況を批判できるぎりぎりに状態にある。今ならまだ大きな犠牲を払わなくても方向を転換して独裁への道を避けることができる。北朝鮮のようになってからでは、戦前戦中の日本のようになってからでは深甚な犠牲を強いられることになるだから。
por Andrés
Andrés政治・経済・国際森友学園問題をめぐって、籠池理事長、財務省等の官僚、大阪府、そして安倍首相夫妻など、誰にどんな責任があるのかが問われている。籠池氏が示したファックスなどや国会での証言、財務省等が廃棄したとする書類、大阪府や教委での処理経過、安倍昭恵氏の言動。これらを具体的に検証することはもちろん欠かせない。だが本質的に重要なのはこのところ「忖度」と呼ばれている一種の「同調圧力」、もっと言えば「暗黙の強制」だ。つまり安倍昭恵氏が名誉校長となっているだけで、具体的に何かを指示しなくても周囲は森友学園の利益を図る方向に動くということ。そこでは当然、籠池氏は森友学園の利益にかなう行動を合法的に成しただろう。官僚や大阪府や教委は、特に誰からの依頼や指示や命令がなくとも、森友学園の有利になるような方策をとっただろう。安倍夫妻は、森友学園の利益をはかるような具体的な依頼も指示も命令も出さなかっただろう。結局、法的には誰も責任は問われないのだ。籠池氏だけは詐欺や文書偽造などに問われる可能性があるが、それはこの問題の本筋ではない。 では誰にどんな責任があるのか。関係者全員に責任があると言ってしまえばその通りなのだが、それでは逆に真の責任の所在が曖昧になってしまう。これこそが戦争責任問題との共通点だ。私たちはアジア太平洋戦争の責任追及を東京裁判に全面的に依存し、一方では一億総懺悔で責任の所在を曖昧にすることに同意した。同じ轍を踏まないためには、関係者全員の責任の追及だけでなく、最も本質的な責任の所在を明らかにして行かなければならない。要するに安倍首相の責任を問うということだ。法的にではない。 彼は総理大臣の孫、外務大臣の子として育つ中で、権力の持つ威力がどのように働くかを学んできたはずだ。つまり自分の意向を明示しなくても、ほんの少しほのめかすだけで周囲が動くことを、さらには単に関心を示しただけでも「忖度」して彼の希望を叶えてくれることを。こんなことを安倍首相にぶつけてみても、彼は「そんなことは考えていないし、反証しようのないことを言われても答えようがない。それに、皆さんはそんなに人の顔色ばかりうかがって動いているのですか?それこそ官僚の皆さんに失礼じゃないですか。」と言うだろう。ここにこそ本質的な問題がある。一方には、絶対に責任追及を受けることのない安全圏にいて権力を行使する者がいて、他方に権力者の意向に沿うことを第一に考えて行動する人々がいて国を動かしているということ。これはまさに独裁政治の病そのものだし、日本はこの病に深く蝕まれているのだ。今、私たちはこの状況を批判できるぎりぎりに状態にある。今ならまだ大きな犠牲を払わなくても方向を転換して独裁への道を避けることができる。北朝鮮のようになってからでは、戦前戦中の日本のようになってからでは深甚な犠牲を強いられることになるだから。 por Andrés退職者夫婦の旅と日常(スペイン・旅・留学・巡礼・映画・思索・本・・・)