両親、祖父、叔父と暮らしているアルマは気が強く、両親とぶつかることも多いが、祖父とだけは幼い頃から仲が良い。祖父は先祖代々受け継いできたオリーブの樹を子孫に受け渡すことが自分の役目だと信じて働いてきた。しかし生活苦から樹齢2000年のオリーブを父が売ってしまったことで、祖父は言葉を発することがなくなり食も細くなって行く。
アルマは祖父を救うにはオリーブの樹を取り戻すしかないと考え、叔父と友人のラファを騙してオリーブが展示されているドイツへと向かう。樹を取り戻すことはできなかったが、一本の枝を持ち帰ることはできた。しかしアルマが帰り着く前に祖父は死んでしまう。アルマは枝を、樹が生えていたところに植え、2000年後を思いながら育てることを誓う。
伝統を守ろうとする祖父と生活を守ろうとする父。伝統的農業と工業化された農業。上質なオリーブ油と安価な油。物語は祖父の死とオリーブの苗が植えられたことで家族内の対立は解消し、ハッピーエンドのように幕を閉じるが、実は何も解決してはいない。
アルマに振り回される叔父やラファの姿、反抗的で口の悪いアルマの言動などが、ありふれた光景としてよく描かれている。また、叔父の「ドイツ人は苦手だ。背が高くて英語が上手いから」という言葉にはスペイン人の本音がにじみ出ているようで、納得してしまう。こうした細部の表現は良く出来ている。しかし家族内の葛藤を描いているにしては母親の姿があまりにも薄く、作品の意図が不明瞭になっている。
por Andrés
/images/2017/06/f72a449bc09cc845cb15270d650e111f.jpg/images/2017/06/f72a449bc09cc845cb15270d650e111f-150x150.jpgAndrés映画・テレビ両親、祖父、叔父と暮らしているアルマは気が強く、両親とぶつかることも多いが、祖父とだけは幼い頃から仲が良い。祖父は先祖代々受け継いできたオリーブの樹を子孫に受け渡すことが自分の役目だと信じて働いてきた。しかし生活苦から樹齢2000年のオリーブを父が売ってしまったことで、祖父は言葉を発することがなくなり食も細くなって行く。 アルマは祖父を救うにはオリーブの樹を取り戻すしかないと考え、叔父と友人のラファを騙してオリーブが展示されているドイツへと向かう。樹を取り戻すことはできなかったが、一本の枝を持ち帰ることはできた。しかしアルマが帰り着く前に祖父は死んでしまう。アルマは枝を、樹が生えていたところに植え、2000年後を思いながら育てることを誓う。 伝統を守ろうとする祖父と生活を守ろうとする父。伝統的農業と工業化された農業。上質なオリーブ油と安価な油。物語は祖父の死とオリーブの苗が植えられたことで家族内の対立は解消し、ハッピーエンドのように幕を閉じるが、実は何も解決してはいない。 アルマに振り回される叔父やラファの姿、反抗的で口の悪いアルマの言動などが、ありふれた光景としてよく描かれている。また、叔父の「ドイツ人は苦手だ。背が高くて英語が上手いから」という言葉にはスペイン人の本音がにじみ出ているようで、納得してしまう。こうした細部の表現は良く出来ている。しかし家族内の葛藤を描いているにしては母親の姿があまりにも薄く、作品の意図が不明瞭になっている。 por Andrés退職者夫婦の旅と日常(スペイン・旅・留学・巡礼・映画・思索・本・・・)