今回の総選挙で「ばらまき合戦」批判が、元財務官寮から出てきた。確かに各党の公約を眺め渡してみると、みごとにすべての政党が「ばらまき」を公約している。党派による違いと言えば、金額とばらまく範囲が少々異なっているという程度だ。これでは野党が勝てるわけがない。大差ない「ばらまき」なら、不慣れな野党より手慣れた与党に任せた方が安心、と多くの人は考えるだろう。

しかし巨額の財政赤字を抱えている日本政府が、さらに借金を増やして「ばらまき」を加速することに危惧を感じないのだろうか。輪転機をぐるぐる回せばお金はいくらでも出せる、日本は財政破綻しない、といった感覚が政府与党だけでなくすべての野党、そして多くの国民にまで広まっているようだ。

だが、国債の発行はどう言い繕ってみても借金に違いはないし、借金は返さなければならない。そして巨額の借金を返す方法は、大増税かハイパーインフレしかない。いずれにしてもやがてそのツケを払わされるのは国民で、ツケを逃れられるのは資産を海外に逃避させられる富裕層と大企業だけだ。

確実にやってくる大増税かハイパーインフレ、確実でないのはそれが5年後なのか10年後かということだけで、私達は不確実で且つ処方箋のない未来を危惧するより、現在の僅かばかりの安心を求めてしまっているのかもしれない。「見ても仕方のないものは見ない」、「今見えるものだけを見ておこう」。刹那主義に覆われた世の中では「モリカケ・桜」などといった倫理に関わる問題、「集団的自衛権行使容認」や臨時国会開催要求の無視といった論理に関わる問題は争点にならず、「いくらもらえるんだろう」ということだけが、その日の食べ物にさえ困窮している人々以外にとっても最大の関心事になってしまったのだろうか。

Andrés政治・経済・国際日記・コラム・つぶやきばらまき,総選挙,財政赤字今回の総選挙で「ばらまき合戦」批判が、元財務官寮から出てきた。確かに各党の公約を眺め渡してみると、みごとにすべての政党が「ばらまき」を公約している。党派による違いと言えば、金額とばらまく範囲が少々異なっているという程度だ。これでは野党が勝てるわけがない。大差ない「ばらまき」なら、不慣れな野党より手慣れた与党に任せた方が安心、と多くの人は考えるだろう。 しかし巨額の財政赤字を抱えている日本政府が、さらに借金を増やして「ばらまき」を加速することに危惧を感じないのだろうか。輪転機をぐるぐる回せばお金はいくらでも出せる、日本は財政破綻しない、といった感覚が政府与党だけでなくすべての野党、そして多くの国民にまで広まっているようだ。 だが、国債の発行はどう言い繕ってみても借金に違いはないし、借金は返さなければならない。そして巨額の借金を返す方法は、大増税かハイパーインフレしかない。いずれにしてもやがてそのツケを払わされるのは国民で、ツケを逃れられるのは資産を海外に逃避させられる富裕層と大企業だけだ。 確実にやってくる大増税かハイパーインフレ、確実でないのはそれが5年後なのか10年後かということだけで、私達は不確実で且つ処方箋のない未来を危惧するより、現在の僅かばかりの安心を求めてしまっているのかもしれない。「見ても仕方のないものは見ない」、「今見えるものだけを見ておこう」。刹那主義に覆われた世の中では「モリカケ・桜」などといった倫理に関わる問題、「集団的自衛権行使容認」や臨時国会開催要求の無視といった論理に関わる問題は争点にならず、「いくらもらえるんだろう」ということだけが、その日の食べ物にさえ困窮している人々以外にとっても最大の関心事になってしまったのだろうか。退職者夫婦の旅と日常(スペイン・旅・留学・巡礼・映画・思索・本・・・)