北海道旅行は50年近く前と20年ほど前に続く３回目。いずれも車で回り、それぞれ10日以上かけただろうか。それでも訪れ損ねた場所はいくつもあった。とにかく北海道は広いのだから。その上、今回は道東だけ、今度は道央中心にというように重点を決めて何度も行けば良いのだろうが、なぜか三度とも全道をくまなく回ろうというような感じで出かけるものだから、どうしても中途半端になってしまうのだろう。それでいてスペインのように回数制限なく何度も訪れようという気持ちがあるわけでもない。結局のところ私にとっては北海道というのはそれほど強い興味を抱かせる場所ではないということなのだろう。

強い興味が湧かない理由は見当がついている。一つは自然に対する関心が強くないということ。美しい自然景観を見ると、それなりに感動はするが、「きれいだな」とその時に思うだけで、心に残るものがないわけではないのだが、写真集の一コマといったもの以上にはならないのだ。二つ目は歴史の希薄さ。もちろん北海道にも歴史はある。ただそれはせいぜい200年に満たない短いものであるだけではなく、その裏に消されたアイヌの歴史が、地名以外はほとんど残っていないということ。つまり歴史の重層性が見えないということだ。三つ目は街並。札幌や旭川はもちろんだが、多くの町が碁盤の目状に町づくりがなされていて、一見すると整ったものではあるが、のっぺりした単調さとも感じられるのだ。それゆえ街歩きの楽しみはない。さらには食事。素材は良いのだが、それを生かす術がまだ不足しているというのは言い過ぎだろうか。あるいは単に素晴らしい料理や店に巡り会えなかった、見出しきれなかっただけなのだろうか。

私にとって北海道はアメリカ合衆国のようなものに思えてしまう。

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