「ダリ版画展ー奇想のイメージ」
長野県立美術館で開催中のダリ版画展を観てきた。
この美術館を訪れるのは初めてなので普段がどんな状況なのか分からないが、7月13日にはじまったばかりの展覧会だが、連休明けの平日で混雑はなく、ゆっくり自分たちのペースで鑑賞できた。東京での展覧会はいつ行っても混んでいて、観覧者の肩越し隙間から見る事を余儀なくされてストレスが溜まるが、地方でだと気持ちよく楽しむことができる。美術館そのものも2021年に建て替えられたばかりで、心地よく過ごすことができた。
展覧会は、1960年代・70年代の版画作品を中心として、いくつかのシリーズを見ることが出来た。
最も多数の作品で構成されていたのはダンテの「神曲」に沿った地獄篇34、煉獄篇33、天国篇33の計100の連作。「神曲」は読んでいないが、ダリの作品から受ける印象は、日本のお寺にある絵もそうだが、地獄については様々な場面がリアルに描かれるのに対し、天国の絵はどれも似たような印象の薄いものなのは、やはり人間世界が天国よりも遥かに地獄に近いからなのだろうか。
マゾッホの「毛皮を着たヴィーナス」に触発された16作は、マゾヒズムの語源となった小説で、これも未読だが、やはり地獄篇と共通する部分があるように思う。
中世ヨーロッパの伝説「トリスタンとイズー(イゾルデ)」に沿った21の連作。挿絵のような構成。
旧約聖書の「雅歌」に基づいた12の作品や「イスラエルの12部族」と題した13の連作。これらはカトリックに回帰したというダリの信仰を反映した作品だろう。
その他にもいくつかの作品集やシリーズ外の作品があり、全体で約200点の作品で構成された展覧会だった。
ダリは自分の制作方法を「偏執狂的批判的方法」と称していたが、今回の展示では、もちろんそうした自称に違わないものも多かったが、一方で攻撃性が影を潜める柔和な側面も窺える作品もあって、ダリへの見方が少し変わったように感じた。
https://dosperegrinos.net/2024/07/16/%e3%80%8c%e3%83%80%e3%83%aa%e7%89%88%e7%94%bb%e5%b1%95%e3%83%bc%e5%a5%87%e6%83%b3%e3%81%ae%e3%82%a4%e3%83%a1%e3%83%bc%e3%82%b8%e3%80%8d//images/2024/07/image-3-scaled.webp/images/2024/07/image-3-scaled.webp文化・芸術イスラエルの12部族,カトリック,ダリ,トリスタンとイズー,偏執狂的批判的方法,毛皮を着たヴィーナス,版画,神曲,長野県立美術館,雅歌長野県立美術館で開催中のダリ版画展を観てきた。 この美術館を訪れるのは初めてなので普段がどんな状況なのか分からないが、7月13日にはじまったばかりの展覧会だが、連休明けの平日で混雑はなく、ゆっくり自分たちのペースで鑑賞できた。東京での展覧会はいつ行っても混んでいて、観覧者の肩越し隙間から見る事を余儀なくされてストレスが溜まるが、地方でだと気持ちよく楽しむことができる。美術館そのものも2021年に建て替えられたばかりで、心地よく過ごすことができた。 展覧会は、1960年代・70年代の版画作品を中心として、いくつかのシリーズを見ることが出来た。 最も多数の作品で構成されていたのはダンテの「神曲」に沿った地獄篇34、煉獄篇33、天国篇33の計100の連作。「神曲」は読んでいないが、ダリの作品から受ける印象は、日本のお寺にある絵もそうだが、地獄については様々な場面がリアルに描かれるのに対し、天国の絵はどれも似たような印象の薄いものなのは、やはり人間世界が天国よりも遥かに地獄に近いからなのだろうか。 マゾッホの「毛皮を着たヴィーナス」に触発された16作は、マゾヒズムの語源となった小説で、これも未読だが、やはり地獄篇と共通する部分があるように思う。 中世ヨーロッパの伝説「トリスタンとイズー(イゾルデ)」に沿った21の連作。挿絵のような構成。 旧約聖書の「雅歌」に基づいた12の作品や「イスラエルの12部族」と題した13の連作。これらはカトリックに回帰したというダリの信仰を反映した作品だろう。 その他にもいくつかの作品集やシリーズ外の作品があり、全体で約200点の作品で構成された展覧会だった。 ダリは自分の制作方法を「偏執狂的批判的方法」と称していたが、今回の展示では、もちろんそうした自称に違わないものも多かったが、一方で攻撃性が影を潜める柔和な側面も窺える作品もあって、ダリへの見方が少し変わったように感じた。Andrés andres@nifty.comAdministratorDos Peregrinos
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