監督 ムハンマド・サウワーフ&マイケル・ウィンターボトム

2022年イギリス映画

2021年5月10日から21日までの11日間、イスラエル軍によるガザ空爆の中で67人のパレスチナの子どもたちが亡くなった。この作品は、その1カ月後から撮影されたドキュメンタリーで、亡くなった子供たちについて両親、兄弟姉妹、祖父母、叔父叔母、従姉、友人などが遺品や遺影とともに語る姿を次々に撮影したもの。ほとんどの人はカメラの前で淡々と、訥々と語り、激しく怒る姿や号泣する声はほとんどなく、静かな涙と諦めに近いようなため息が繰り返される。

今、ガザでは、そしてパレスチナ全域でも同様な殺戮が、1年以上にわたって続けられている。

あまりにも多くの悲劇が積み重ねられている。

殺された子どもたち、大人たち、残された家族、友人。

見殺しにされ続けているパレスチナ。ロシアのウクライナ侵攻では日本の地方の小さな町でもウクライナ支援の声が上がったが、パレスチナ支援の動きは大都市でさえも小さい。日本も含めた多くの国がロシア制裁に素早く取り組み今も続けているが、日本も含めて多くの国はイスラエル制裁に手を付けようともしない。

メディアの多くは今も「ハマスのテロ攻撃からはじまった」という枕詞をつけてガザ情勢を報じるが、この映画で描かれていることも含めたイスラエル建国以来のパレスチナ侵略について正確に報じる姿勢はほとんど見られない。

そして何よりも悲惨なのは、アウシュビッツを経験したユダヤ人たちが、今度はパレスチナ人に対して似たような「民族浄化」を行なおうとしていることだ。

殺人犯も強盗も詐欺師もいるが、どこの国でも一人一人で見れば圧倒的多数は善良だ。しかし集団となると、特にそれが民族や国家といったような集団の一員となると、圧倒的多数が殺戮や強奪などに自ら進んで突き進んで行く。そこにはユダヤ人、アラブ人、米国人、日本人の違いはない。我々の祖先がアフリカの草原で群れをつくって暮らし始めた時から、遺伝子に組み込まれた生存原理なのだろうか。

/images/2024/11/image-700x989.webp/images/2024/11/image-150x150.webpAndrés映画・テレビアップリンク吉祥寺,イスラエル,ガザ,ユダヤ,忘れない、パレスチナの子どもたちを監督 ムハンマド・サウワーフ&マイケル・ウィンターボトム 2022年イギリス映画 2021年5月10日から21日までの11日間、イスラエル軍によるガザ空爆の中で67人のパレスチナの子どもたちが亡くなった。この作品は、その1カ月後から撮影されたドキュメンタリーで、亡くなった子供たちについて両親、兄弟姉妹、祖父母、叔父叔母、従姉、友人などが遺品や遺影とともに語る姿を次々に撮影したもの。ほとんどの人はカメラの前で淡々と、訥々と語り、激しく怒る姿や号泣する声はほとんどなく、静かな涙と諦めに近いようなため息が繰り返される。 今、ガザでは、そしてパレスチナ全域でも同様な殺戮が、1年以上にわたって続けられている。 あまりにも多くの悲劇が積み重ねられている。 殺された子どもたち、大人たち、残された家族、友人。 見殺しにされ続けているパレスチナ。ロシアのウクライナ侵攻では日本の地方の小さな町でもウクライナ支援の声が上がったが、パレスチナ支援の動きは大都市でさえも小さい。日本も含めた多くの国がロシア制裁に素早く取り組み今も続けているが、日本も含めて多くの国はイスラエル制裁に手を付けようともしない。 メディアの多くは今も「ハマスのテロ攻撃からはじまった」という枕詞をつけてガザ情勢を報じるが、この映画で描かれていることも含めたイスラエル建国以来のパレスチナ侵略について正確に報じる姿勢はほとんど見られない。 そして何よりも悲惨なのは、アウシュビッツを経験したユダヤ人たちが、今度はパレスチナ人に対して似たような「民族浄化」を行なおうとしていることだ。 殺人犯も強盗も詐欺師もいるが、どこの国でも一人一人で見れば圧倒的多数は善良だ。しかし集団となると、特にそれが民族や国家といったような集団の一員となると、圧倒的多数が殺戮や強奪などに自ら進んで突き進んで行く。そこにはユダヤ人、アラブ人、米国人、日本人の違いはない。我々の祖先がアフリカの草原で群れをつくって暮らし始めた時から、遺伝子に組み込まれた生存原理なのだろうか。退職者夫婦の旅と日常(スペイン・旅・留学・巡礼・映画・思索・本・・・)