小川洋子『密やかな結晶」講談社文庫

架空の島が舞台。島でいろんなものが徐々に消えてゆく。しかし島の人たちはそれに順応し、すぐに消えたものの記憶も失って、何事もなかったように暮らしている。ただ一部の例外的な人たちだけが記憶を失わない。しかし秘密警察が記憶狩りを行い、記憶を失わない人をどこかに連行してしまう。そんな島に暮らす小説家の主人公も母と父を記憶狩りで失ったが、他の人たちと同様に順応して暮らしている。そんな中で担当編集者が記憶を失わない人だと知り、自宅に匿う。
静かな語り口で淡々と紡ぎ出される物語は、島の日常をあたかも私たちの日常と同じような当たり前の生活のように記し、読む者の暮らしに溶け込ませる。気づいてみるとこの島が私たちの社会と何も違っていないと思わされている。
これは作者の現代社会に対する批評なのか。ある種のファンタジーなのか。いずれにしても読後に残るのは静謐。
https://dosperegrinos.net/?p=22528/images/2023/06/IMG_3563-700x969.webp/images/2023/06/IMG_3563-150x150.webp書籍・雑誌密やかな結晶,小川洋子架空の島が舞台。島でいろんなものが徐々に消えてゆく。しかし島の人たちはそれに順応し、すぐに消えたものの記憶も失って、何事もなかったように暮らしている。ただ一部の例外的な人たちだけが記憶を失わない。しかし秘密警察が記憶狩りを行い、記憶を失わない人をどこかに連行してしまう。そんな島に暮らす小説家の主人公も母と父を記憶狩りで失ったが、他の人たちと同様に順応して暮らしている。そんな中で担当編集者が記憶を失わない人だと知り、自宅に匿う。 静かな語り口で淡々と紡ぎ出される物語は、島の日常をあたかも私たちの日常と同じような当たり前の生活のように記し、読む者の暮らしに溶け込ませる。気づいてみるとこの島が私たちの社会と何も違っていないと思わされている。 これは作者の現代社会に対する批評なのか。ある種のファンタジーなのか。いずれにしても読後に残るのは静謐。 Andrés andres@nifty.comAdministratorDos Peregrinos

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