旧東海道を歩いてみて気付いたこと、気になったこと、これから歩いてみようと思っている方の参考になるかもしれないことを、思いつくままに記してみる。

●ガイドブック 「完全 東海道五十三次ガイド」(講談社+α文庫)と「東海道を歩く旅」(山と渓谷社)を使った。持って歩くものなので、前者は文庫、後者も薄いもの。1冊で53次すべてをカバーしているので、当然くわしい情報は載っていない。私たちは歩くことが主目的だったのでこれで充分だったが、時間をかけてゆっくり見物をというのには物足りないだろう。

●地図 「東海道を歩く旅」の地図は概略図なので歩く上では参考にならなかった。「完全 東海道五十三次ガイド」のは正確なので1日の行程全体を把握するのに役立った。歩きながら参照していたのはポータブルナビ「GARMIN OREGON300」に読み込んだ「浮浪雲(はぐれ雲)」氏作成のルートデータ(http://latlonglab.yahoo.co.jp/route/list?kw=%E6%9D%B1%E6%B5%B7%E9%81%93%E3%80%80%E6%B5%AE%E6%B5%AA%E9%9B%B2)。非常に正確で、これを参照しながら進めば間違いはないだろう。特に旧街道が消えているところや市街地に紛れてしまっているところでは、紙の地図では非常に苦労しただろう思う。

●道路(歩道) 市街地のはまだしも、幹線道路の歩道は歩くためにつくられたものではない。

欠陥1.舗装がデコボコ。車道部分はほとんどがきれいに舗装されているが、歩道は何度も掘り返してデコボコだったり、長く舗装をやり直していないために穴だらけというところが多い。

欠陥2.傾斜。排水のためなのだろうが、路肩に向かって傾斜していて、片足に負担がかかる。車道部分よりもはるかに傾斜が大きいのは、歩行者のことを全く考えていないとしか思えない。

欠陥3.車の出入り用に歩道を部分的に低くしている。10cm程度の段差だが、数mから十数mおきに延々と繰り返されると腹が立ってくる。

欠陥4.電柱。もともと電柱の直径より少し広い程度の歩道しか設置していないところでも電柱は歩道に立てられていて、歩行者は車道に出ざるを得なくなっている。

欠陥5.U字溝の蓋。蓋の上が歩道になっているところが多いが、継ぎ目や水を落とし込むための穴に躓かないよう、足元に注意しながら歩かなければならない。

歩行者にとってさえ使い辛い歩道なので、車椅子では通行不能(たとえ介助者がいたとしても)なところが多い。都会の駅ではホームへのエレベーターの設置が進み、「バリアフリー」が浸透しつつあるように見えるが、まだまだという現状。

●食事 旧街道沿いの食事処は非常に少ない。昼食は、食べられれば幸運、と思うしかない。12時前後に食事処が見つかれば、種類も質も値段も考えずに入らないと、次は何時間後になるか分からない。

●休憩 食事処でさえ上記のような状況なので、茶店や喫茶店は名古屋の市街地以外ではほとんど出くわせない。公園のベンチでと思っても、そもそも公園がない。

●トイレ 公園が見当たらないのだから公園のトイレは当然あてにできない。一番使わせてもらったのはコンビニ。あとはお寺か神社。これも特に女性の場合は、あったら行っておくというつもりでないと困ることになる。

●宿 日本旅館だと夕食が多くて、何日も続くと苦痛になるので、もっぱらビジネスホテルを利用した。朝食つきだと朝の時間の節約にもなる。安上がりで夕食は店も選べるので良いが、朝食の質は期待できない。昼ごろには、その日にどのあたりまで進めるかが確定するので、昼食時にその日のホテルを予約するようにしていた。予約は携帯電話でiモードのホテル予約サイトを通して行った。

 

現在、歩いて旅するのは例外的なことなので、道や町が徒歩旅行者に便利なようにできていないのは当然かもしれない。しかし近所に店がない、食堂がない、本来の歩道がないというのは、「買い物難民」に象徴されるように暮らしにくい町でもあるだろう。

por Andres

Andres y Amelia東海道中旧東海道を歩いてみて気付いたこと、気になったこと、これから歩いてみようと思っている方の参考になるかもしれないことを、思いつくままに記してみる。 ●ガイドブック 「完全 東海道五十三次ガイド」(講談社+α文庫)と「東海道を歩く旅」(山と渓谷社)を使った。持って歩くものなので、前者は文庫、後者も薄いもの。1冊で53次すべてをカバーしているので、当然くわしい情報は載っていない。私たちは歩くことが主目的だったのでこれで充分だったが、時間をかけてゆっくり見物をというのには物足りないだろう。 ●地図 「東海道を歩く旅」の地図は概略図なので歩く上では参考にならなかった。「完全 東海道五十三次ガイド」のは正確なので1日の行程全体を把握するのに役立った。歩きながら参照していたのはポータブルナビ「GARMIN OREGON300」に読み込んだ「浮浪雲(はぐれ雲)」氏作成のルートデータ(http://latlonglab.yahoo.co.jp/route/list?kw=%E6%9D%B1%E6%B5%B7%E9%81%93%E3%80%80%E6%B5%AE%E6%B5%AA%E9%9B%B2)。非常に正確で、これを参照しながら進めば間違いはないだろう。特に旧街道が消えているところや市街地に紛れてしまっているところでは、紙の地図では非常に苦労しただろう思う。 ●道路(歩道) 市街地のはまだしも、幹線道路の歩道は歩くためにつくられたものではない。 欠陥1.舗装がデコボコ。車道部分はほとんどがきれいに舗装されているが、歩道は何度も掘り返してデコボコだったり、長く舗装をやり直していないために穴だらけというところが多い。 欠陥2.傾斜。排水のためなのだろうが、路肩に向かって傾斜していて、片足に負担がかかる。車道部分よりもはるかに傾斜が大きいのは、歩行者のことを全く考えていないとしか思えない。 欠陥3.車の出入り用に歩道を部分的に低くしている。10cm程度の段差だが、数mから十数mおきに延々と繰り返されると腹が立ってくる。 欠陥4.電柱。もともと電柱の直径より少し広い程度の歩道しか設置していないところでも電柱は歩道に立てられていて、歩行者は車道に出ざるを得なくなっている。 欠陥5.U字溝の蓋。蓋の上が歩道になっているところが多いが、継ぎ目や水を落とし込むための穴に躓かないよう、足元に注意しながら歩かなければならない。 歩行者にとってさえ使い辛い歩道なので、車椅子では通行不能(たとえ介助者がいたとしても)なところが多い。都会の駅ではホームへのエレベーターの設置が進み、「バリアフリー」が浸透しつつあるように見えるが、まだまだという現状。 ●食事 旧街道沿いの食事処は非常に少ない。昼食は、食べられれば幸運、と思うしかない。12時前後に食事処が見つかれば、種類も質も値段も考えずに入らないと、次は何時間後になるか分からない。 ●休憩 食事処でさえ上記のような状況なので、茶店や喫茶店は名古屋の市街地以外ではほとんど出くわせない。公園のベンチでと思っても、そもそも公園がない。 ●トイレ 公園が見当たらないのだから公園のトイレは当然あてにできない。一番使わせてもらったのはコンビニ。あとはお寺か神社。これも特に女性の場合は、あったら行っておくというつもりでないと困ることになる。 ●宿 日本旅館だと夕食が多くて、何日も続くと苦痛になるので、もっぱらビジネスホテルを利用した。朝食つきだと朝の時間の節約にもなる。安上がりで夕食は店も選べるので良いが、朝食の質は期待できない。昼ごろには、その日にどのあたりまで進めるかが確定するので、昼食時にその日のホテルを予約するようにしていた。予約は携帯電話でiモードのホテル予約サイトを通して行った。   現在、歩いて旅するのは例外的なことなので、道や町が徒歩旅行者に便利なようにできていないのは当然かもしれない。しかし近所に店がない、食堂がない、本来の歩道がないというのは、「買い物難民」に象徴されるように暮らしにくい町でもあるだろう。 por Andres退職者夫婦の旅と日常(スペイン・旅・留学・巡礼・映画・思索・本・・・)