政権交代が焦点とされる今回の総選挙、いつも以上に各党、候補者は必死に選挙運動を繰り広げ、国民の関心も高いと報道されている。
しかし、毎日のように流されてきた党首たちの主張を見聞きしていると、この「政権交代」が不毛なものとなる予感が強まってくる。
麻生は、さかんに「景気対策を実行できるのは、日本を守れるのは、責任ある政治を実行できるのは自民党だけ」と強調する。現在の深刻な不況に対する責任は全く感じていないようだ。不況は自然現象とでも考えているのか。それとも米国のサブプライム・ローンだけに責任を負わせようとしているのだろうか。米国の新自由主義、市場原理主義、競争至上主義に嬉々として同調してきた中曽根や小泉などの政策が、様々な格差を拡大したことに原因があることには触れるわけにはいかないのだろうが。
サブプライム・ローン問題が表面化したころ、自民党や財界寄りの経済学者たちは「日本は金融機関がバブル経済から学んでいるから、サブプライムの影響は少なく、不況は限定的でしかない」と主張していた。ところが現実には日本経済のマイナス成長は、米国よりもひどいものとなっている。
去年の春、トヨタをはじめ多くの日本の大企業は史上最高益を記録していたが、賃上げは「企業の体力をつけるため」として拒否していた。しかし秋になり不況となった途端に派遣社員・季節工・パート・アルバイトを躊躇することなく首切りし、正社員に対しても賃金カット・人員整理をはじめた。
不況になれば先ず賃下げ・解雇、景気が回復しても賃上げ・雇用はなし。このような経済や社会が内需の停滞を招き、輸出依存を限りなく強めてしまった。こうした状況を作り上げた自民党・公明党に、景気回復策がないといって民主党を批判する資格はない。
一方、民主党も内部に多くの新自由主義者がいて、自公への表面的批判に終始するしかない。
共産党は、言っていることは他党よりはましなのだが、いまだにスターリン主義批判がまともにできないようでは、表明される政策と党の本質はねじれるばかりだ。
社民党は、人材・組織力・資金力の弱まりで、政策立案力が衰えてしまい、個別の要求を出すことはできても政策全般を語る能力が失われている。
国民新党は、小泉への怨念だけしかない。
みんなの党は、その党名を聞いただけであきれ返るしかない。
それにしても公明党のあまりの自画自賛ぶりが最も聞き苦しく、見苦しく、腹立たしい。与党が自画自賛するというのは、その政策の結果である日本の現在を彼らは自己の成果として誇っていると言うことになる。創価学会への好悪は別にして、以前の公明党は曲がりなりにも都市中下流階層の利益を代弁しようとしていた。だが現状はこの階層を一番苦しめているのだ。支持者を裏切っても口を拭って権力を維持しようとする姿からは、権力亡者でしかない本質が露呈しているとしか言いようがない。
ところでイラク派兵の問題をどの党も主要なテーマとしないのはなぜなのか。国内では不況の真の原因を問わず、国際問題では嘘に支えられた自衛隊派兵という欺瞞を追及しない選挙とは、一体何なのだろうか。

por Andres

Andres y Amelia政治・経済・国際政権交代が焦点とされる今回の総選挙、いつも以上に各党、候補者は必死に選挙運動を繰り広げ、国民の関心も高いと報道されている。 しかし、毎日のように流されてきた党首たちの主張を見聞きしていると、この「政権交代」が不毛なものとなる予感が強まってくる。 麻生は、さかんに「景気対策を実行できるのは、日本を守れるのは、責任ある政治を実行できるのは自民党だけ」と強調する。現在の深刻な不況に対する責任は全く感じていないようだ。不況は自然現象とでも考えているのか。それとも米国のサブプライム・ローンだけに責任を負わせようとしているのだろうか。米国の新自由主義、市場原理主義、競争至上主義に嬉々として同調してきた中曽根や小泉などの政策が、様々な格差を拡大したことに原因があることには触れるわけにはいかないのだろうが。 サブプライム・ローン問題が表面化したころ、自民党や財界寄りの経済学者たちは「日本は金融機関がバブル経済から学んでいるから、サブプライムの影響は少なく、不況は限定的でしかない」と主張していた。ところが現実には日本経済のマイナス成長は、米国よりもひどいものとなっている。 去年の春、トヨタをはじめ多くの日本の大企業は史上最高益を記録していたが、賃上げは「企業の体力をつけるため」として拒否していた。しかし秋になり不況となった途端に派遣社員・季節工・パート・アルバイトを躊躇することなく首切りし、正社員に対しても賃金カット・人員整理をはじめた。 不況になれば先ず賃下げ・解雇、景気が回復しても賃上げ・雇用はなし。このような経済や社会が内需の停滞を招き、輸出依存を限りなく強めてしまった。こうした状況を作り上げた自民党・公明党に、景気回復策がないといって民主党を批判する資格はない。 一方、民主党も内部に多くの新自由主義者がいて、自公への表面的批判に終始するしかない。 共産党は、言っていることは他党よりはましなのだが、いまだにスターリン主義批判がまともにできないようでは、表明される政策と党の本質はねじれるばかりだ。 社民党は、人材・組織力・資金力の弱まりで、政策立案力が衰えてしまい、個別の要求を出すことはできても政策全般を語る能力が失われている。 国民新党は、小泉への怨念だけしかない。 みんなの党は、その党名を聞いただけであきれ返るしかない。 それにしても公明党のあまりの自画自賛ぶりが最も聞き苦しく、見苦しく、腹立たしい。与党が自画自賛するというのは、その政策の結果である日本の現在を彼らは自己の成果として誇っていると言うことになる。創価学会への好悪は別にして、以前の公明党は曲がりなりにも都市中下流階層の利益を代弁しようとしていた。だが現状はこの階層を一番苦しめているのだ。支持者を裏切っても口を拭って権力を維持しようとする姿からは、権力亡者でしかない本質が露呈しているとしか言いようがない。 ところでイラク派兵の問題をどの党も主要なテーマとしないのはなぜなのか。国内では不況の真の原因を問わず、国際問題では嘘に支えられた自衛隊派兵という欺瞞を追及しない選挙とは、一体何なのだろうか。 ...退職者夫婦の旅と日常(スペイン・旅・留学・巡礼・映画・思索・本・・・)