横浜美術館で行われている「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」展に行ってきた。3日(日)にNHKで「沢木耕太郎 推理ドキュメント 運命の一枚~"戦場"写真 最大の謎に挑む~」が放送されたばかりなので混雑を心配していたが、空いていてゆっくり見ることができた。C6347ae21

キャパといえばこの「崩れ落ちる兵士」が有名で、3日のNHKの番組もこの写真にまつわる物語だった。

しかし今回の写真展は「ロバート・キャパ」という名を共有したキャパ(本名アンドレ・フリードマン)とゲルダ・タロー(本名ゲルタ・ポホリレ)、この二人のもの。

ゲルダの写真家としての生涯はほぼすべてスペイン戦争の中にある。キャパ(アンドレ・フリードマン)はスペイン戦争からはじまって日中戦争、第二次世界大戦、インドシナ戦争までが活動の舞台だった。

彼らの作品からは戦争の悲惨さが、それも単に血が流されることや命が失われるということだけではなく、「敵」も「味方」も「人間性」を失くしてしまうことの惨たらしさが伝わってくる。

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「ドイツ兵との間にもうけた赤ん坊を抱いて家に帰る若い女性、シャルトル、フランス」1944年8月18日

勝者と敗者、昨日までの敗者と勝者。

ここに頭髪を丸刈りにされた若い女性がいなければ、人々はナチスからの解放で喜びの笑顔を湛えた美しい表情を見せていただろう。

ユダヤ人だったキャパはナチス・ドイツの敗北を誰よりも喜んでいたはずだ。にもかかわらず彼はここで、「味方」の醜さを描き、戦争の酷さを深く表現している。

そんなキャパでも、イスラエル「建国」に際してはユダヤ人の方にだけ目を向け、「イスラエル建国」によって強制的に追い出され移住させられたパレスチナ人を100パーセント無視していた。

キャパの限界。この言い方は厳し過ぎるだろうか。

por Andrés

Andres y Amelia文化・芸術横浜美術館で行われている「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」展に行ってきた。3日(日)にNHKで「沢木耕太郎 推理ドキュメント 運命の一枚~"戦場"写真 最大の謎に挑む~」が放送されたばかりなので混雑を心配していたが、空いていてゆっくり見ることができた。 キャパといえばこの「崩れ落ちる兵士」が有名で、3日のNHKの番組もこの写真にまつわる物語だった。 しかし今回の写真展は「ロバート・キャパ」という名を共有したキャパ(本名アンドレ・フリードマン)とゲルダ・タロー(本名ゲルタ・ポホリレ)、この二人のもの。 ゲルダの写真家としての生涯はほぼすべてスペイン戦争の中にある。キャパ(アンドレ・フリードマン)はスペイン戦争からはじまって日中戦争、第二次世界大戦、インドシナ戦争までが活動の舞台だった。 彼らの作品からは戦争の悲惨さが、それも単に血が流されることや命が失われるということだけではなく、「敵」も「味方」も「人間性」を失くしてしまうことの惨たらしさが伝わってくる。 「ドイツ兵との間にもうけた赤ん坊を抱いて家に帰る若い女性、シャルトル、フランス」1944年8月18日 勝者と敗者、昨日までの敗者と勝者。 ここに頭髪を丸刈りにされた若い女性がいなければ、人々はナチスからの解放で喜びの笑顔を湛えた美しい表情を見せていただろう。 ユダヤ人だったキャパはナチス・ドイツの敗北を誰よりも喜んでいたはずだ。にもかかわらず彼はここで、「味方」の醜さを描き、戦争の酷さを深く表現している。 そんなキャパでも、イスラエル「建国」に際してはユダヤ人の方にだけ目を向け、「イスラエル建国」によって強制的に追い出され移住させられたパレスチナ人を100パーセント無視していた。 キャパの限界。この言い方は厳し過ぎるだろうか。 por Andrés退職者夫婦の旅と日常(スペイン・旅・留学・巡礼・映画・思索・本・・・)