スペイン旅行 1982/08/14
23:15 アルヘシラス-コルドバ間の列車の通路に立ったままこれを書いている.
昨日は7時半に起床.ゆっくり眠ったつもりだったが,スペイン時間とモロッコ時間の2時間の差で,朝早く起きてしまった.部屋が東向きのため,一寸暑い.シャワーを浴び,ホテルに頼んでおいた朝食のパンとカフェオレを摂る.この日は朝からバスでFez へ移動する予定だったが,Fez からメリージャへ行くバスや,メリージャからマラガへの船のことを考えると心配でもあるので,急遽予定を変更してこのメクネスを見て,ここにもう一泊することにする.朝食後ホテルのフロントにもう一泊する旨を告げ,ツーリスモの場所を聞いてから出かける.
ツーリスモはホテルから近く,歩いて5分程.メクネスの地図をもらおうとするが,地図はないのでキオスクで買うようにとのこと.タンジール行きのバスの発車場の住所を教えてもらってから,前日,ホテルに行くために歩いた大通りに出る.出てすぐの所に本屋があったので入ってみる.メクネスの地図は一つだけあったが,汚れているのでここで買うのはやめる.この本屋は教科書屋のようで,中には各教科の教科書が置いてあるが,ほとんどはフランス語で,アラブ語のものはあまりない.この本屋の通りを隔てた向かい側に雑誌屋があるので行って,そこでメクネスの地図を手に入れ,ツーリスモで教えられたバス停に向かう.この大通りをメディナとは反対方向に少し歩き,交叉しているモハメド5世通り.モハメド5世通りを左へ行くが見つからず,通りの終点にいた警官に尋ねると,反対方向だと教えるので引き返す.しばらく歩いて左側にバスターミナルと言っても一台分の乗り場しかない小さなものが見つかる.明日8時半の切符をと窓口で言うと,当日売りしかしないから明朝8時ごろ来るようにとのこと.もし満員で乗れなかったらと心配ではあるが,仕方ないので翌朝早目に来ることにしてバス停を後にする.別の大通りを通ってメディナへ向かう.前日バスで到着した所からメディナに入る.はじめは地図を見て歩いて行くが,ちょっと脇道に入るともう地図は役に立たなくなる.そう大きなメディナではないから,後は適当に勘で歩き回ることにする.脇道を歩くと一方はすぐに行き止まり,反対側に歩き,いくつかの角を曲がって行くと,何人かの遊んでいた子供たちが笑って何か言う.どうも行き止まりだと教えてくれていたようで,一寸行くと向こうで黒いマスクの女がじっと立ってこちらを見ており,確かに行き止まり.元の道を引き返し,最初の少し広い道に出る.通りがかりに会う子供も大人も皆,不思議そうな顔や驚いたような表情でじっとこちらを見ている.脇道はどこも行き止まりのような気がして,広い道をまっすぐに歩くことにする.やがて5分程でメディナを通り抜け,反対側のバス通りに出る.右に行くとすぐの所に博物館のようなものがあるので入ろうとすると,3時まで閉館と言うので諦める.その向かいに土産物屋の大きなのがあったので入ってみる.真鍮製の器,毛皮製品等々.しかしどれも皆土産然としていて,あまり質も良くなさそうなので買う気になれない.土産店を出てまた少し行くと何かの遺跡があり,ガイドが寄って来る.ガイドに構わず小さな入り口の階段を下りて行くと,そこは天井の高いがらん洞の地下室.所々天井から地上に穴が空けられており,そこから光が射し込んでいる.ここはキリスト教徒の収容所だった地下牢.いくつかの部分に区切られていて結構広い.地下牢を出てからバザール(市場)へ行く.四角い広場は駐車場になっており,門から入って左側に店が沢山ある.階段を数段下りた所が市場になっていて,市場の形式はスペインと同じ.雑貨・肉・野菜・果物・香辛料等の店がそれぞれの通路に並んでいる.中でオリーブ屋がオリーブの実を山と積み,山の斜面に飾り付けをして売っている.肉屋ではさすがにイスラム教国だけあって豚肉はない.牛肉は普通に切って売っている.鶏・鳩は生きたまま籠に入れられていたり,足を結ばれて転がされている.買い手がついたらそこで羽をむしり取ってくれるようだ.スープでもとるためのものなのか山羊の骨(足の骨と頭蓋骨)の肉が何もついてなくて,しかも半分干からびているものを売っている.広場に面しては床屋が並ぶ.一軒に椅子一つの小さな床屋.広場では屋台のオレンジジュース屋が手押し絞り器でオレンジを絞って売り,水売りが肩から担いだ革袋からコップに注いで水を売る.広場から100mほどのカフェでコーラを飲み,また広場に戻り,今度は門と反対側の路地に入り込む.そこにも店が並んでいる.古い水道の蛇口を売っている店.古い自転車の部品を売る店.果物屋,サボテンの実を売る店,串に巻いたミンチを炭で焼いて売る店,そして洋服屋が多い.カーテンの布のようなもので仕立てている店は,たぶんあの足元までの長い貫頭衣のようなものを作っているのだろうし,また普通の背広を作る店もある.道から少し窪んだ穴蔵のような小部屋に縮こまって入っている老人.水汲み場でポリ容器に水を入れる仕事をする子供たち.道端でミントの葉を売る少年.配偶者が写真を撮らせてくれと言ったら,少年は自分が写らないように脇にどき,売り物のミントティーの葉だけを写すようにと言う仕草をする.少年も写真に入るようにと言っても笑って断り,更に遠ざかる.一束買うからと言っても嫌がって絶対に元の座っていた場所には戻ろうとしない.諦めて写真を撮らずに去る.写真を撮られることが恥ずかしいのか,魂を抜き取られると思っているのか.配偶者がどうしてもミントティーの葉を買いたいと言うので一回りして戻ってみると,今度は先の少年とその父親もそこに居合わせる.一束を1DHで買い,写真を撮らせるように頼むと,少年は又恥ずかしそうに笑いながら席から離れる.父親が元に戻るように言ってもきかず,何回目かに服をつかまれて席に連れてこられやっと諦めたように座る.しかし顔はうつむいて,今にも泣き出しそうな表情.配偶者はとうとう写真を撮らずに引き上げる.
バザール広場の隣の広場に行き,ベンチに座って休む.この日は朝から薄曇りで,太陽光線が弱い.広場に座っていると早速向こうから若い男が近づいてきて,ガイドをしようかと言うようなことを言ってくる.あまり相手をせずに断わる.地図を見ていると又別の若い男が来て,ここは見たかあそこは見たかと私達が見てきた所ばかりをきく.適当に相手をし,煙草を一本やって別れ,私達も歩き出す.ちょっと別の道を行ってみるが,すぐに行き止まりだと言われて引き返し,最初に来た道を引き返して同じ所からメディナを出る.新市街に戻り,私達の泊まっているホテルの近くにある五つ星のホテルRifのレストランに行ってみるが,やっていないので,前の晩食べたレストランの向かい側のレストランに入り昼食.メニューの中にあるモロッコ料理に近いものをいくつか選んで比較的軽く済ませる.
食後,15時頃ホテルに戻り,昼寝をしようとするが暑くてなかなか眠れない.配偶者は洗濯後よく眠れたらしいが,私はその間うとうとしては暑さで目が覚め汗を拭きということの繰り返し.仕方なく起き出し,シャワーを浴びて又ホテルを出る.どこか涼しい所で日記を書こうと思いRifホテルなら冷房が入っているはずだからと思って入ってカフェに座ってみたら,全く冷房は入れてなく,外の方が余程涼しい.アイスコーヒーを頼んだら言葉が通じないのか,元々存在しないのか,エスプレッソが出てきてしまう.急いで飲んで外に出る.外は風が吹いて涼しい.朝,地図を買った店で絵葉書を買う.あまり良いものはない.再びメディナの方へ行き,今度は入口から中には入らず.城壁に沿って外側の道を歩く.門を見るために行ったのだが,結局門は見つからない.
途中から10歳前後の男の子二人が「シノワ」と叫んだり空手の真似をしたりめちゃくちゃな意味のない言葉を言ったりして私達の後ろからついてくる.メディナから離れ,河原の林と公園に挟まれた広い自動車道路に出たら引き上げるだろうと思っていたが,それでもついてくる.しつこさに段々嫌になり,足を速めてしばらく歩いた所で彼らは Au reboirと言ってやっと帰って行った.私達はホテルへの大通りとの交差点付近で沢山の人が夕涼みをしているので,石の欄干に座って休む.すると先の男の子二人が何時の間にか又やってくる.今度は私達の目から隠れるようにして,私達の前を通り過ぎる時も歩道の一番反対側を顔をこちらに向けないようにして身体を斜めにして一人ずつ間を置いて歩いて行く.私達を追い越してメディナの方へ帰って行くのかと思っていたら,私達から離れた所に座り,少しずつ近づいてきて,とうとう5m位の所まで来る.その様子が可愛く,先程までは何だか小うるさい悪ガキだと思っていたが,やることが素朴ですれていない.そこで配偶者が一円玉をきれいなお年玉袋に入れてあげようと,少年達を呼ぶ.一人がやってきたが,名前は,というような質問に何も答えず,恥ずかしそうにして離れてしまう.どうやってあげようかと考えているうちに,別の17~18歳の少年グループが二人の少年を呼び寄せ何か耳打ちしはじめたので,妙なことになりそうなので私達はさっさと行くことにする.新市街の方にはついてこないと思っていたら,年長グループに入れ知恵されたのだろう,二人の少年はずっとついてくる.ホテルに入れば諦めると思い,Rifホテルに入りレストランを覗いたりトイレに行ったりして10分程時間をつぶしてホテルを出ると,まだ待っている.もう完全に無視することにして前の晩と同じレストランで食事にする.モロッコ料理をいくつか注文.ここは水を頼むと 1.5リットル入りが出てくる.前の晩もこの晩もほとんど一本飲んでしまう.食事の間も少年達は通りをうろうろしたりすぐそばの柱の影に立ってみたりちょっと離れて奇声を発してみたりして,一生懸命私達の気を引こうとしている.帰りかけては又戻ってきたりして1時間位も周りをうろついている.年長の連中に「おまえ達,何かもらってきて俺達にそれを見せろ」などと言われたのだろう.しかしここで物をやったらかれらがせびることを覚えることになるので,徹底して無視していたら,やっと諦めて帰って行った.
食後,ホテルの下のカフェでミントティーを飲もうと思って行ったらもう閉店.部屋に入って暑さを我慢しながら日記を書く.書くことが溜まってしまったため,シャワーを浴びて寝たのは夜中の2時だった.
https://dosperegrinos.net/2021/04/22/%e3%82%b9%e3%83%9a%e3%82%a4%e3%83%b3%e6%97%85%e8%a1%8c%e3%80%801982-08-14//images/2021/04/1982-08-13 モロッコ バザール陶器店頭-1024x697.jpg/images/2021/04/1982-08-13 モロッコ バザール陶器店頭-150x150.jpgスペイン旅行スペイン旅行23:15 アルヘシラス-コルドバ間の列車の通路に立ったままこれを書いている. 昨日は7時半に起床.ゆっくり眠ったつもりだったが,スペイン時間とモロッコ時間の2時間の差で,朝早く起きてしまった.部屋が東向きのため,一寸暑い.シャワーを浴び,ホテルに頼んでおいた朝食のパンとカフェオレを摂る.この日は朝からバスでFez へ移動する予定だったが,Fez からメリージャへ行くバスや,メリージャからマラガへの船のことを考えると心配でもあるので,急遽予定を変更してこのメクネスを見て,ここにもう一泊することにする.朝食後ホテルのフロントにもう一泊する旨を告げ,ツーリスモの場所を聞いてから出かける. ツーリスモはホテルから近く,歩いて5分程.メクネスの地図をもらおうとするが,地図はないのでキオスクで買うようにとのこと.タンジール行きのバスの発車場の住所を教えてもらってから,前日,ホテルに行くために歩いた大通りに出る.出てすぐの所に本屋があったので入ってみる.メクネスの地図は一つだけあったが,汚れているのでここで買うのはやめる.この本屋は教科書屋のようで,中には各教科の教科書が置いてあるが,ほとんどはフランス語で,アラブ語のものはあまりない.この本屋の通りを隔てた向かい側に雑誌屋があるので行って,そこでメクネスの地図を手に入れ,ツーリスモで教えられたバス停に向かう.この大通りをメディナとは反対方向に少し歩き,交叉しているモハメド5世通り.モハメド5世通りを左へ行くが見つからず,通りの終点にいた警官に尋ねると,反対方向だと教えるので引き返す.しばらく歩いて左側にバスターミナルと言っても一台分の乗り場しかない小さなものが見つかる.明日8時半の切符をと窓口で言うと,当日売りしかしないから明朝8時ごろ来るようにとのこと.もし満員で乗れなかったらと心配ではあるが,仕方ないので翌朝早目に来ることにしてバス停を後にする.別の大通りを通ってメディナへ向かう.前日バスで到着した所からメディナに入る.はじめは地図を見て歩いて行くが,ちょっと脇道に入るともう地図は役に立たなくなる.そう大きなメディナではないから,後は適当に勘で歩き回ることにする.脇道を歩くと一方はすぐに行き止まり,反対側に歩き,いくつかの角を曲がって行くと,何人かの遊んでいた子供たちが笑って何か言う.どうも行き止まりだと教えてくれていたようで,一寸行くと向こうで黒いマスクの女がじっと立ってこちらを見ており,確かに行き止まり.元の道を引き返し,最初の少し広い道に出る.通りがかりに会う子供も大人も皆,不思議そうな顔や驚いたような表情でじっとこちらを見ている.脇道はどこも行き止まりのような気がして,広い道をまっすぐに歩くことにする.やがて5分程でメディナを通り抜け,反対側のバス通りに出る.右に行くとすぐの所に博物館のようなものがあるので入ろうとすると,3時まで閉館と言うので諦める.その向かいに土産物屋の大きなのがあったので入ってみる.真鍮製の器,毛皮製品等々.しかしどれも皆土産然としていて,あまり質も良くなさそうなので買う気になれない.土産店を出てまた少し行くと何かの遺跡があり,ガイドが寄って来る.ガイドに構わず小さな入り口の階段を下りて行くと,そこは天井の高いがらん洞の地下室.所々天井から地上に穴が空けられており,そこから光が射し込んでいる.ここはキリスト教徒の収容所だった地下牢.いくつかの部分に区切られていて結構広い.地下牢を出てからバザール(市場)へ行く.四角い広場は駐車場になっており,門から入って左側に店が沢山ある.階段を数段下りた所が市場になっていて,市場の形式はスペインと同じ.雑貨・肉・野菜・果物・香辛料等の店がそれぞれの通路に並んでいる.中でオリーブ屋がオリーブの実を山と積み,山の斜面に飾り付けをして売っている.肉屋ではさすがにイスラム教国だけあって豚肉はない.牛肉は普通に切って売っている.鶏・鳩は生きたまま籠に入れられていたり,足を結ばれて転がされている.買い手がついたらそこで羽をむしり取ってくれるようだ.スープでもとるためのものなのか山羊の骨(足の骨と頭蓋骨)の肉が何もついてなくて,しかも半分干からびているものを売っている.広場に面しては床屋が並ぶ.一軒に椅子一つの小さな床屋.広場では屋台のオレンジジュース屋が手押し絞り器でオレンジを絞って売り,水売りが肩から担いだ革袋からコップに注いで水を売る.広場から100mほどのカフェでコーラを飲み,また広場に戻り,今度は門と反対側の路地に入り込む.そこにも店が並んでいる.古い水道の蛇口を売っている店.古い自転車の部品を売る店.果物屋,サボテンの実を売る店,串に巻いたミンチを炭で焼いて売る店,そして洋服屋が多い.カーテンの布のようなもので仕立てている店は,たぶんあの足元までの長い貫頭衣のようなものを作っているのだろうし,また普通の背広を作る店もある.道から少し窪んだ穴蔵のような小部屋に縮こまって入っている老人.水汲み場でポリ容器に水を入れる仕事をする子供たち.道端でミントの葉を売る少年.配偶者が写真を撮らせてくれと言ったら,少年は自分が写らないように脇にどき,売り物のミントティーの葉だけを写すようにと言う仕草をする.少年も写真に入るようにと言っても笑って断り,更に遠ざかる.一束買うからと言っても嫌がって絶対に元の座っていた場所には戻ろうとしない.諦めて写真を撮らずに去る.写真を撮られることが恥ずかしいのか,魂を抜き取られると思っているのか.配偶者がどうしてもミントティーの葉を買いたいと言うので一回りして戻ってみると,今度は先の少年とその父親もそこに居合わせる.一束を1DHで買い,写真を撮らせるように頼むと,少年は又恥ずかしそうに笑いながら席から離れる.父親が元に戻るように言ってもきかず,何回目かに服をつかまれて席に連れてこられやっと諦めたように座る.しかし顔はうつむいて,今にも泣き出しそうな表情.配偶者はとうとう写真を撮らずに引き上げる. バザール広場の隣の広場に行き,ベンチに座って休む.この日は朝から薄曇りで,太陽光線が弱い.広場に座っていると早速向こうから若い男が近づいてきて,ガイドをしようかと言うようなことを言ってくる.あまり相手をせずに断わる.地図を見ていると又別の若い男が来て,ここは見たかあそこは見たかと私達が見てきた所ばかりをきく.適当に相手をし,煙草を一本やって別れ,私達も歩き出す.ちょっと別の道を行ってみるが,すぐに行き止まりだと言われて引き返し,最初に来た道を引き返して同じ所からメディナを出る.新市街に戻り,私達の泊まっているホテルの近くにある五つ星のホテルRifのレストランに行ってみるが,やっていないので,前の晩食べたレストランの向かい側のレストランに入り昼食.メニューの中にあるモロッコ料理に近いものをいくつか選んで比較的軽く済ませる. 食後,15時頃ホテルに戻り,昼寝をしようとするが暑くてなかなか眠れない.配偶者は洗濯後よく眠れたらしいが,私はその間うとうとしては暑さで目が覚め汗を拭きということの繰り返し.仕方なく起き出し,シャワーを浴びて又ホテルを出る.どこか涼しい所で日記を書こうと思いRifホテルなら冷房が入っているはずだからと思って入ってカフェに座ってみたら,全く冷房は入れてなく,外の方が余程涼しい.アイスコーヒーを頼んだら言葉が通じないのか,元々存在しないのか,エスプレッソが出てきてしまう.急いで飲んで外に出る.外は風が吹いて涼しい.朝,地図を買った店で絵葉書を買う.あまり良いものはない.再びメディナの方へ行き,今度は入口から中には入らず.城壁に沿って外側の道を歩く.門を見るために行ったのだが,結局門は見つからない. 途中から10歳前後の男の子二人が「シノワ」と叫んだり空手の真似をしたりめちゃくちゃな意味のない言葉を言ったりして私達の後ろからついてくる.メディナから離れ,河原の林と公園に挟まれた広い自動車道路に出たら引き上げるだろうと思っていたが,それでもついてくる.しつこさに段々嫌になり,足を速めてしばらく歩いた所で彼らは Au reboirと言ってやっと帰って行った.私達はホテルへの大通りとの交差点付近で沢山の人が夕涼みをしているので,石の欄干に座って休む.すると先の男の子二人が何時の間にか又やってくる.今度は私達の目から隠れるようにして,私達の前を通り過ぎる時も歩道の一番反対側を顔をこちらに向けないようにして身体を斜めにして一人ずつ間を置いて歩いて行く.私達を追い越してメディナの方へ帰って行くのかと思っていたら,私達から離れた所に座り,少しずつ近づいてきて,とうとう5m位の所まで来る.その様子が可愛く,先程までは何だか小うるさい悪ガキだと思っていたが,やることが素朴ですれていない.そこで配偶者が一円玉をきれいなお年玉袋に入れてあげようと,少年達を呼ぶ.一人がやってきたが,名前は,というような質問に何も答えず,恥ずかしそうにして離れてしまう.どうやってあげようかと考えているうちに,別の17~18歳の少年グループが二人の少年を呼び寄せ何か耳打ちしはじめたので,妙なことになりそうなので私達はさっさと行くことにする.新市街の方にはついてこないと思っていたら,年長グループに入れ知恵されたのだろう,二人の少年はずっとついてくる.ホテルに入れば諦めると思い,Rifホテルに入りレストランを覗いたりトイレに行ったりして10分程時間をつぶしてホテルを出ると,まだ待っている.もう完全に無視することにして前の晩と同じレストランで食事にする.モロッコ料理をいくつか注文.ここは水を頼むと 1.5リットル入りが出てくる.前の晩もこの晩もほとんど一本飲んでしまう.食事の間も少年達は通りをうろうろしたりすぐそばの柱の影に立ってみたりちょっと離れて奇声を発してみたりして,一生懸命私達の気を引こうとしている.帰りかけては又戻ってきたりして1時間位も周りをうろついている.年長の連中に「おまえ達,何かもらってきて俺達にそれを見せろ」などと言われたのだろう.しかしここで物をやったらかれらがせびることを覚えることになるので,徹底して無視していたら,やっと諦めて帰って行った. 食後,ホテルの下のカフェでミントティーを飲もうと思って行ったらもう閉店.部屋に入って暑さを我慢しながら日記を書く.書くことが溜まってしまったため,シャワーを浴びて寝たのは夜中の2時だった.Andrés andres@nifty.comAdministratorDos Peregrinos
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