21:25 昨日(14日)は7時前に起き,7時半にホテルを出てバス停へ行く.切符は手に入るが指定席ではない.8時半発なのに時間が来てもバスが現れない.やっと来て発車したのは9時.このバスはFez始発で来たもの.バスそのものはテトゥアンからメクネスまで乗ったものと同様であったが,客層が違っている.いずれも乗客はモロッコ人ばかりであったが,今回の客はバス停が新市街にあるためか,料金がほんの少し高いためか,路線の違いによるものかは分からないが,中産階級がほとんどで,バス停の雰囲気もバス内での様子も大分物静かで,しかもバス停が小さいせいもあるのだろうが物売りがほとんど来ない.しかしここでも荷物を上に上げてもらって5DH取られる.ひょっとしたらこれは荷物の運賃なのかもしれない.大部分の座席が埋まって出発.車窓の風景は町を出ると相変わらず牧草地の連続であるが,往路よりも雨量が多いのか,所々に緑が見える.バスの中で発車前に配偶者が買ってきたパンを食べ,朝食代わりにする.2時間程走って休憩.バルの前でバスが停まり,ほとんどの乗客が降りて休む.私達は二人でコーラを一本飲むだけにするが,食事をする者も多い.例のミンチを串に巻いて炭火で焼いたものとパン.中にはこれでボカディージョにして食べている者もいる.私達も食べてはみたいのだが,何しろハエが多く不潔で,どうしても注文する気になれない.ここでは20分位停車.この日は朝から空は曇り,ホテルを出る時には微かに霧雨が降っていたくらいで,暑くはならず,バスの旅もあまり疲れない.一寸したバス停に停まった時,物売りが沢山乗り込んできてピーナツやパンのようなもの,おこしのようなもの,シャツ等を売る.これはテトゥアンのバス停でと同じ.ところがバスが発車しても一人の少年売り子がバスから降りずにいたため,車内後方で騒ぎが持ち上がる.この少年は客からお金をまだ受け取っていなかったか何かで降りるのが遅れたらしい.乗客が騒いで運転手はこのことに気付いてもバスを止めようとはしない.こんな時にすぐにバスを止めたりしては,売り子がいつまでもバスを降りなくなってしまうからだろう.交差点で停車したすきに後ろのドアを開くが,バスはすぐに発車して降りられない.さすがにドアが開いたままなのでやっとバスは止まり,売り子の少年は急いで降りる.窓から見ているとこの少年,バスを降りた所で額の汗を拭い,フーッという様子.少年の年齢は10歳位.日本のこの年頃の子供がバスを降り損ねたりしたらワッと泣き出してしまうだろうが,この少年はちゃんと商売を済ませてから降りて行った.この件を原因にして後方の男の乗客と私の左前に座っていた母親と少女(17~18歳か)との間に言い争いが始まり,しばらく激しい口調で罵り合っていた.やがてバスは海岸線に出る.海岸はずっと砂浜が続き,海水浴客でにぎわっている.そしてまた海岸の少し手前にはキャンプ場の連続で,そこには多くのテントやキャンピングカーが見られる.あれらのうちのほとんどはヨーロッパからのバカンス客なのだろう.

バスは14時半にタンジールへ到着.バスを降りて荷物を受け取ろうとしていると,もう言い寄ってくる男がいる.一切無視して荷物を受け取る.チップ1DH.すぐそばに港の入口があるのでそちらに向かい,港へ行く.入口に船の出発時刻の表示があるので見てみると,15時にジブラルタル行き,15時半にアルヘシラス行きがある.たった30分では間に合うかどうか分からないが,とにかく急いでやってみることにする.港の建物に入ってみるとどこがどうなっているのか分からない.一寸うろうろしているとここの職員らしい制服を着た男が近づいてきて,どこへ行くのかと聞くのでシブラルタルと答えると,自分がやってあげると言って私の大きな荷物を持つ.時間がないのでこの男に任せることにしてついて行く.先ず両替所に行きDHを替える.ジブラルタルに行くと言うと船賃が二人で210DHだと言うので,小銭の他に札210DHを残し,あとはフランに替える.次に乗船券売り場に行って券を買おうとする.ところがここでは二人で285DHだと言う.これでは手持ちの金では買えない.しかも売り場の人はジブラルタルからスペインへは入国できないと言う.私が知る情報ではジブラルタル・スペイン国境は昨年開かれたはずなのだが.とにかくこれでは仕方ないのでアルヘシラスへ渡ることにして又別の建物へ移動し,そこで私が荷の番をしている間に配偶者と例の男とで出国手続きと乗船券の入手を済ませ,やっと一息つく.しかし80DHも現金が残り,しかも先に両替した時に銀行での換金証明書を渡してしまっているのでこの80DHはペセタにもフランにも替えることができない.船の出発も近いので買物するわけにも行かず,仕方なく持ち帰ることにする.外国では勿論使用不能.例の男は一人10DH,二人で20DHを要求してくる.しかし私達は,あなたは間違ったのだからと10DHしか渡さない.一度離れてまたもう一回寄ってきて,もう10DHと言い寄るが,断固として You are mistake ! と繰り返してはねつける.やっと諦めて去る.すぐに乗船.15時30分出港予定が少し遅れて50分に出港.船が出港した所で気持ちが急に楽になる.やはりモロッコでは相当に緊張していたようだ.とにかくあの何だかだと言い寄ってくる人々に対する応対が疲れて仕様がない.それが本当の親切なのかお金を稼ぐためなのかが分からないのだ.相手は皆金目当てだと割り切れれば断わるのも気が楽なのだが,ひょっとしたら親切心で言っているのかもしれないと思うと,断わる時も何となく引っかかるものが残ってしまうのだ.もう一つはチップの相場が分からないこと.相手の要求のままに払っては当然多過ぎるのだが,では一体いくらが適当なのかが分からない.そのためにいつもぼられているような感じがするのだ.これからは道を尋ねても金を要求されることのない国に帰るのだと思ったとたんに,フッと気の張りが抜けて行った.

今回の船はほとんど揺れず,配偶者も酔わずに済む.甲板でずっと過ごすが,風が冷たく寒いほど.船は2時間ほどでアルヘシラスに到着.モロッコ時間の18時.スペイン時間の20時.入国時の荷物検査の列は長かったが,比較的スムーズに進み,建物を出た所で駅の方向を聞き,歩き出す.港を出てすぐ,数日前にセビージャからのバスが着いた所の少し左側にRENFE のマークが見えたので行ってみるとそこは旅行社.線路があったのでそれに沿って500m程歩くと駅がある.時間を見て22時45分のマドリー経由アンダイ行きの列車に乗ることにして切符を買う.一寸引き返した所のホテル内のレストランで食事.定食600Pts.と安かったが,ガスパッチョとセビージャで食べ損ねたウエボスフラメンカが食べられる.ホテルには団体客がいるらしくレストラン内にも団体客が入ってくるが,ボーイの応対が一般客に対してとは少し違って,何となくぞんざい.やはりこれはどこの世界でも同じか.

食後駅に戻るともう列車は入っている.ところがどの車両も超満員.

Andrésスペイン旅行スペイン旅行21:25 昨日(14日)は7時前に起き,7時半にホテルを出てバス停へ行く.切符は手に入るが指定席ではない.8時半発なのに時間が来てもバスが現れない.やっと来て発車したのは9時.このバスはFez始発で来たもの.バスそのものはテトゥアンからメクネスまで乗ったものと同様であったが,客層が違っている.いずれも乗客はモロッコ人ばかりであったが,今回の客はバス停が新市街にあるためか,料金がほんの少し高いためか,路線の違いによるものかは分からないが,中産階級がほとんどで,バス停の雰囲気もバス内での様子も大分物静かで,しかもバス停が小さいせいもあるのだろうが物売りがほとんど来ない.しかしここでも荷物を上に上げてもらって5DH取られる.ひょっとしたらこれは荷物の運賃なのかもしれない.大部分の座席が埋まって出発.車窓の風景は町を出ると相変わらず牧草地の連続であるが,往路よりも雨量が多いのか,所々に緑が見える.バスの中で発車前に配偶者が買ってきたパンを食べ,朝食代わりにする.2時間程走って休憩.バルの前でバスが停まり,ほとんどの乗客が降りて休む.私達は二人でコーラを一本飲むだけにするが,食事をする者も多い.例のミンチを串に巻いて炭火で焼いたものとパン.中にはこれでボカディージョにして食べている者もいる.私達も食べてはみたいのだが,何しろハエが多く不潔で,どうしても注文する気になれない.ここでは20分位停車.この日は朝から空は曇り,ホテルを出る時には微かに霧雨が降っていたくらいで,暑くはならず,バスの旅もあまり疲れない.一寸したバス停に停まった時,物売りが沢山乗り込んできてピーナツやパンのようなもの,おこしのようなもの,シャツ等を売る.これはテトゥアンのバス停でと同じ.ところがバスが発車しても一人の少年売り子がバスから降りずにいたため,車内後方で騒ぎが持ち上がる.この少年は客からお金をまだ受け取っていなかったか何かで降りるのが遅れたらしい.乗客が騒いで運転手はこのことに気付いてもバスを止めようとはしない.こんな時にすぐにバスを止めたりしては,売り子がいつまでもバスを降りなくなってしまうからだろう.交差点で停車したすきに後ろのドアを開くが,バスはすぐに発車して降りられない.さすがにドアが開いたままなのでやっとバスは止まり,売り子の少年は急いで降りる.窓から見ているとこの少年,バスを降りた所で額の汗を拭い,フーッという様子.少年の年齢は10歳位.日本のこの年頃の子供がバスを降り損ねたりしたらワッと泣き出してしまうだろうが,この少年はちゃんと商売を済ませてから降りて行った.この件を原因にして後方の男の乗客と私の左前に座っていた母親と少女(17~18歳か)との間に言い争いが始まり,しばらく激しい口調で罵り合っていた.やがてバスは海岸線に出る.海岸はずっと砂浜が続き,海水浴客でにぎわっている.そしてまた海岸の少し手前にはキャンプ場の連続で,そこには多くのテントやキャンピングカーが見られる.あれらのうちのほとんどはヨーロッパからのバカンス客なのだろう. バスは14時半にタンジールへ到着.バスを降りて荷物を受け取ろうとしていると,もう言い寄ってくる男がいる.一切無視して荷物を受け取る.チップ1DH.すぐそばに港の入口があるのでそちらに向かい,港へ行く.入口に船の出発時刻の表示があるので見てみると,15時にジブラルタル行き,15時半にアルヘシラス行きがある.たった30分では間に合うかどうか分からないが,とにかく急いでやってみることにする.港の建物に入ってみるとどこがどうなっているのか分からない.一寸うろうろしているとここの職員らしい制服を着た男が近づいてきて,どこへ行くのかと聞くのでシブラルタルと答えると,自分がやってあげると言って私の大きな荷物を持つ.時間がないのでこの男に任せることにしてついて行く.先ず両替所に行きDHを替える.ジブラルタルに行くと言うと船賃が二人で210DHだと言うので,小銭の他に札210DHを残し,あとはフランに替える.次に乗船券売り場に行って券を買おうとする.ところがここでは二人で285DHだと言う.これでは手持ちの金では買えない.しかも売り場の人はジブラルタルからスペインへは入国できないと言う.私が知る情報ではジブラルタル・スペイン国境は昨年開かれたはずなのだが.とにかくこれでは仕方ないのでアルヘシラスへ渡ることにして又別の建物へ移動し,そこで私が荷の番をしている間に配偶者と例の男とで出国手続きと乗船券の入手を済ませ,やっと一息つく.しかし80DHも現金が残り,しかも先に両替した時に銀行での換金証明書を渡してしまっているのでこの80DHはペセタにもフランにも替えることができない.船の出発も近いので買物するわけにも行かず,仕方なく持ち帰ることにする.外国では勿論使用不能.例の男は一人10DH,二人で20DHを要求してくる.しかし私達は,あなたは間違ったのだからと10DHしか渡さない.一度離れてまたもう一回寄ってきて,もう10DHと言い寄るが,断固として You are mistake ! と繰り返してはねつける.やっと諦めて去る.すぐに乗船.15時30分出港予定が少し遅れて50分に出港.船が出港した所で気持ちが急に楽になる.やはりモロッコでは相当に緊張していたようだ.とにかくあの何だかだと言い寄ってくる人々に対する応対が疲れて仕様がない.それが本当の親切なのかお金を稼ぐためなのかが分からないのだ.相手は皆金目当てだと割り切れれば断わるのも気が楽なのだが,ひょっとしたら親切心で言っているのかもしれないと思うと,断わる時も何となく引っかかるものが残ってしまうのだ.もう一つはチップの相場が分からないこと.相手の要求のままに払っては当然多過ぎるのだが,では一体いくらが適当なのかが分からない.そのためにいつもぼられているような感じがするのだ.これからは道を尋ねても金を要求されることのない国に帰るのだと思ったとたんに,フッと気の張りが抜けて行った. 今回の船はほとんど揺れず,配偶者も酔わずに済む.甲板でずっと過ごすが,風が冷たく寒いほど.船は2時間ほどでアルヘシラスに到着.モロッコ時間の18時.スペイン時間の20時.入国時の荷物検査の列は長かったが,比較的スムーズに進み,建物を出た所で駅の方向を聞き,歩き出す.港を出てすぐ,数日前にセビージャからのバスが着いた所の少し左側にRENFE のマークが見えたので行ってみるとそこは旅行社.線路があったのでそれに沿って500m程歩くと駅がある.時間を見て22時45分のマドリー経由アンダイ行きの列車に乗ることにして切符を買う.一寸引き返した所のホテル内のレストランで食事.定食600Pts.と安かったが,ガスパッチョとセビージャで食べ損ねたウエボスフラメンカが食べられる.ホテルには団体客がいるらしくレストラン内にも団体客が入ってくるが,ボーイの応対が一般客に対してとは少し違って,何となくぞんざい.やはりこれはどこの世界でも同じか. 食後駅に戻るともう列車は入っている.ところがどの車両も超満員.退職者夫婦の旅と日常(スペイン・旅・留学・巡礼・映画・思索・本・・・)