九州旅行2020 11/06
朝食は宿で。やはり昔ながらの旅館風。唯一、ここの郷土料理である「冷や汁」があるのが特徴か。「冷や汁」は思ったよりおいしい。
9時前に出て、高千穂峡に行く。高千穂大橋を渡った先の駐車場に車を置き、遊歩道を歩く。五ヶ瀬川まで急な道を下り、あとは上り下りを繰り返しながら下流に進む。振り返ると高千穂三段橋が見える。手前から石造の「神橋」、コンクリートの「高千穂大橋」、鉄鋼の「神都高千穂大橋」。峡谷は深く、柱状節理や「甌穴」(おうけつ)という小石が渦巻きで岩を削ってできた円筒形の穴が大小多数ある。やがて「真名井の滝」が見えてくる。写真でよく目にする風景だが、実物も非常に美しい。滝の近くまで行っているボートが2~3艘見える。「御橋」で遊歩道は終点。「おのころ池」をはじめいくつかの池がある。いずれも川以上に水がきれい。鯉とともにチョウザメが少数泳いでいる。後刻、宿の人に聞いてみると、この地域でチョウザメの養殖がおこなわれており、誰かが「おのころ池」にも放したのだろうとのこと。この神秘的なほど美しい景色の土地だから、「天孫降臨」の舞台になったのだろう。来た道を引き返し、途中で神橋を渡って自然観察道に進む。この道に来る人はいなかった。非常に急な上り坂で、途中で何度も立ち止まる。上り切った先に高千穂神社がある。神楽殿が団体の貸し切りになっていて神楽が演じられている。
ガラス戸越しに内部が良く見え音も聞こえるので、しばらく無料鑑賞。ちょうど天岩戸を開く場面。神社の本殿に回ると家族連れらしき数人が中でお祓いを受けている。本殿前に夫婦杉があり手をつないで3度回ると夫婦円満、家内安全、子孫繁昌がかなうとあるので、私たちにはあまり関係ないが、回ってみる。私たちの少し後で2組が回っていた。神官が一人、別の巨木をたたずんで見上げていた。5分ほど歩いて「鬼八塚」。要するに昔の豪族間の争いの跡。
道路を歩いて車に戻り、昼食に出かける。カフェで軽めの食事にするが、行ってみたら昨夜の宿のすぐ近くだった。
「高千穂あまてらす鉄道」に乗る。発車まで30分ほどあったので、駅構内の鉄道関係の展示を見る。駅員の様子などで、この鉄道が「鉄ちゃん」たちで運営されているらしいことが伝わってくる。
列車の旅は実に楽しかった。高千穂の町や田園風景の中を走り、トンネルに入ると真っ暗な天井にイルミネーションが投じられて乗客を楽しませてくれる。深い谷川に架かった鉄橋の上でしばらく停車し写真撮影の時間をとってくれる。運転手さんが写真を撮ってくれた。横や連結部、車両床の透明部から谷底を覗くと高さがわかる。鉄橋を渡った先のトンネルの入口で列車は引き返す。もとの駅に戻って旅は終わり。ここでも機関車を前に写真を撮ってくれる。運転手も駅員も皆、鉄道が大好きでたまらないという表情で仕事をしている。廃線になったものを何とか復活させようと始めたこの路線だが、成功しているように見える。経営は楽ではないだろうが。天岩戸神社。まず西本宮へ。思ったより小さな社殿。一角にある神楽殿には、午前中に見た神楽の天岩戸の場面と同じセットが設えられていた。坂道を歩いて岩戸川まで下り、「天安河原」へ。奥行きにない洞窟のような中に賽の河原のように小さな石を積んだものが無数にある。ここでアマテラスを岩屋から出すための会議が開かれたとのこと。議事録はもちろん作成されなかっただろう。引き返して、今度は川向うの東本宮へ。こちらは参拝客もほとんどおらず、寂れた印象。社殿の先の7本杉まで行くが、その先に道はなく天岩戸までは行けないようになっている。私たち以外は若い男性二人連れがいただけだった。
入口脇に神楽の回転人形があった。
どの神社でも老若男女を問わず、多くの来訪者は鳥居をくぐるとき、本殿の前などで頭を下げている。日本人は無信仰だなどという俗説は間違いだと、改めて思う。信仰心を持っていて、しかし宗教のことを深くは考えない。神社や寺に行けばとりあえず手を合わせ賽銭をあげる。どんな神だとか教えだとか経典だとかは考えずに、その時々の願い事を頼んでみる。そんなところだろう。真剣に考えて「原理主義者」なんぞになるよりはるかにましだが。
ホテルに行く。少し雨が落ちてくる。今夜の宿は「欧風宿 ぶどうの樹」。たしかに欧風、あるいはペンション風。夕食は18時過ぎからで、ダイニングルームには私たち以外に2組5人の客。食事は特段変わったものはないが、どれも素材が良くおいしい。お酒は「一睡の夢」という焼酎をロックで。癖がなくおいしかった。
30年以上前に一度だけペンションに泊まったことがある。ペンションが流行していた頃で、部屋は狭く食事はフレンチ風だが、量の少なさだけがフランス料理の特徴だと考えているのかと思えるほど、ちまちましていて素人の域から一歩も出ない料理で、それに懲りて以来ペンションには泊まらなくなった。今夜の宿はペンションを名乗ってはいないが、様式はペンション。しかし部屋は狭くはなく、料理はおいしかった。ここが例外なのか時代が変わったのか。「ペンション=洋風民宿」より値段が高いが。
https://dosperegrinos.net/2020/11/06/%e4%b9%9d%e5%b7%9e%e6%97%85%e8%a1%8c2020-11-06//images/2020/11/20201106_101339-scaled-700x394.jpg/images/2020/11/20201106_101339-scaled-150x150.jpg国内旅行朝食は宿で。やはり昔ながらの旅館風。唯一、ここの郷土料理である「冷や汁」があるのが特徴か。「冷や汁」は思ったよりおいしい。 9時前に出て、高千穂峡に行く。高千穂大橋を渡った先の駐車場に車を置き、遊歩道を歩く。五ヶ瀬川まで急な道を下り、あとは上り下りを繰り返しながら下流に進む。振り返ると高千穂三段橋が見える。手前から石造の「神橋」、コンクリートの「高千穂大橋」、鉄鋼の「神都高千穂大橋」。峡谷は深く、柱状節理や「甌穴」(おうけつ)という小石が渦巻きで岩を削ってできた円筒形の穴が大小多数ある。やがて「真名井の滝」が見えてくる。写真でよく目にする風景だが、実物も非常に美しい。滝の近くまで行っているボートが2~3艘見える。「御橋」で遊歩道は終点。「おのころ池」をはじめいくつかの池がある。いずれも川以上に水がきれい。鯉とともにチョウザメが少数泳いでいる。後刻、宿の人に聞いてみると、この地域でチョウザメの養殖がおこなわれており、誰かが「おのころ池」にも放したのだろうとのこと。この神秘的なほど美しい景色の土地だから、「天孫降臨」の舞台になったのだろう。来た道を引き返し、途中で神橋を渡って自然観察道に進む。この道に来る人はいなかった。非常に急な上り坂で、途中で何度も立ち止まる。上り切った先に高千穂神社がある。神楽殿が団体の貸し切りになっていて神楽が演じられている。 ガラス戸越しに内部が良く見え音も聞こえるので、しばらく無料鑑賞。ちょうど天岩戸を開く場面。神社の本殿に回ると家族連れらしき数人が中でお祓いを受けている。本殿前に夫婦杉があり手をつないで3度回ると夫婦円満、家内安全、子孫繁昌がかなうとあるので、私たちにはあまり関係ないが、回ってみる。私たちの少し後で2組が回っていた。神官が一人、別の巨木をたたずんで見上げていた。5分ほど歩いて「鬼八塚」。要するに昔の豪族間の争いの跡。 道路を歩いて車に戻り、昼食に出かける。カフェで軽めの食事にするが、行ってみたら昨夜の宿のすぐ近くだった。 「高千穂あまてらす鉄道」に乗る。発車まで30分ほどあったので、駅構内の鉄道関係の展示を見る。駅員の様子などで、この鉄道が「鉄ちゃん」たちで運営されているらしいことが伝わってくる。 列車の旅は実に楽しかった。高千穂の町や田園風景の中を走り、トンネルに入ると真っ暗な天井にイルミネーションが投じられて乗客を楽しませてくれる。深い谷川に架かった鉄橋の上でしばらく停車し写真撮影の時間をとってくれる。運転手さんが写真を撮ってくれた。横や連結部、車両床の透明部から谷底を覗くと高さがわかる。鉄橋を渡った先のトンネルの入口で列車は引き返す。もとの駅に戻って旅は終わり。ここでも機関車を前に写真を撮ってくれる。運転手も駅員も皆、鉄道が大好きでたまらないという表情で仕事をしている。廃線になったものを何とか復活させようと始めたこの路線だが、成功しているように見える。経営は楽ではないだろうが。天岩戸神社。まず西本宮へ。思ったより小さな社殿。一角にある神楽殿には、午前中に見た神楽の天岩戸の場面と同じセットが設えられていた。坂道を歩いて岩戸川まで下り、「天安河原」へ。奥行きにない洞窟のような中に賽の河原のように小さな石を積んだものが無数にある。ここでアマテラスを岩屋から出すための会議が開かれたとのこと。議事録はもちろん作成されなかっただろう。引き返して、今度は川向うの東本宮へ。こちらは参拝客もほとんどおらず、寂れた印象。社殿の先の7本杉まで行くが、その先に道はなく天岩戸までは行けないようになっている。私たち以外は若い男性二人連れがいただけだった。 入口脇に神楽の回転人形があった。 どの神社でも老若男女を問わず、多くの来訪者は鳥居をくぐるとき、本殿の前などで頭を下げている。日本人は無信仰だなどという俗説は間違いだと、改めて思う。信仰心を持っていて、しかし宗教のことを深くは考えない。神社や寺に行けばとりあえず手を合わせ賽銭をあげる。どんな神だとか教えだとか経典だとかは考えずに、その時々の願い事を頼んでみる。そんなところだろう。真剣に考えて「原理主義者」なんぞになるよりはるかにましだが。 ホテルに行く。少し雨が落ちてくる。今夜の宿は「欧風宿 ぶどうの樹」。たしかに欧風、あるいはペンション風。夕食は18時過ぎからで、ダイニングルームには私たち以外に2組5人の客。食事は特段変わったものはないが、どれも素材が良くおいしい。お酒は「一睡の夢」という焼酎をロックで。癖がなくおいしかった。 30年以上前に一度だけペンションに泊まったことがある。ペンションが流行していた頃で、部屋は狭く食事はフレンチ風だが、量の少なさだけがフランス料理の特徴だと考えているのかと思えるほど、ちまちましていて素人の域から一歩も出ない料理で、それに懲りて以来ペンションには泊まらなくなった。今夜の宿はペンションを名乗ってはいないが、様式はペンション。しかし部屋は狭くはなく、料理はおいしかった。ここが例外なのか時代が変わったのか。「ペンション=洋風民宿」より値段が高いが。Andrés andres@nifty.comAdministratorDos Peregrinos
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