大雑把に言えば「書評集」なのだが、一般的な書評集とはいろんな意味で趣が異なっている。
一見して分かるのは、章立ての体裁。普通は書名、著者名、版元などが明示されているだろうが、本書では空白の3行の次にゴシック体で章題が示される。巻末の初出一覧でも明らかなように、様々な媒体に発表されたものなので、各章の長さや記述スタイルも多様。1~2ページのものから十数ページのものまである。また章題も、既知のものであれば別だが、読み進んでみないとそれが書名なのかテーマなのか分からない。それどころかその章が書評ではなく一種のエッセイになっていることさえある。
内容が小説、詩、ノンフィクション、映画、人類学等々と多岐にわたっているため、興味の持てない章もあったが、全体としては「読んでみたい」「読まなくては」と思わせられるものが多く、「書評集」として成功しているように思う。
帯の惹句「読めなくてもいい、忘れても」は、読み終えるころになって「読んだことがあるな、この本」と気づくことが増えてきた最近の私にとっては、慰めにもなり励みにもなる言葉だ。「読書の実用論」の方は無視した方が良いのでは。
https://dosperegrinos.net/2023/02/17/%e8%8f%85%e5%95%93%e6%ac%a1%e9%83%8e%e3%80%8e%e6%9c%ac%e3%81%af%e8%aa%ad%e3%82%81%e3%81%aa%e3%81%84%e3%82%82%e3%81%ae%e3%81%a0%e3%81%8b%e3%82%89%e5%bf%83%e9%85%8d%e3%81%99%e3%82%8b%e3%81%aa%e3%80%8f//images/2023/02/img_63ef7216025d0-700x995.png/images/2023/02/img_63ef7216025d0-150x150.pngAndrés書籍・雑誌書評,菅啓次郎大雑把に言えば「書評集」なのだが、一般的な書評集とはいろんな意味で趣が異なっている。
一見して分かるのは、章立ての体裁。普通は書名、著者名、版元などが明示されているだろうが、本書では空白の3行の次にゴシック体で章題が示される。巻末の初出一覧でも明らかなように、様々な媒体に発表されたものなので、各章の長さや記述スタイルも多様。1~2ページのものから十数ページのものまである。また章題も、既知のものであれば別だが、読み進んでみないとそれが書名なのかテーマなのか分からない。それどころかその章が書評ではなく一種のエッセイになっていることさえある。
内容が小説、詩、ノンフィクション、映画、人類学等々と多岐にわたっているため、興味の持てない章もあったが、全体としては「読んでみたい」「読まなくては」と思わせられるものが多く、「書評集」として成功しているように思う。
帯の惹句「読めなくてもいい、忘れても」は、読み終えるころになって「読んだことがあるな、この本」と気づくことが増えてきた最近の私にとっては、慰めにもなり励みにもなる言葉だ。「読書の実用論」の方は無視した方が良いのでは。
Andrés
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