エミリオ・アラゴン監督によるスペイン映画。原題は Pájaros de papel(小鳥の折り紙)。http://www.alcine-terran.com/paperbird/

スペイン戦争直後が舞台。戦争中、フランコ側の爆撃で妻子を失った喜劇役者のホルヘが1年ぶりで元の劇団に戻り、相方だったエンリケと再びコンビを組むが、エンリケが引き取った孤児のミゲルも加わることになる。はじめのうちホルヘは、亡くした息子を思い出させられるからか、ミゲルを受け入れようとしなかった。しかしホルヘを父親のように思い、懸命に芸を覚えて一人前の役者になろうとするミゲルとの交流で、三人は家族のようになって行く。一方、ホルヘは舞台でもフランコを皮肉るような言動をとり、当局から目をつけられることになる。

そこでうたわれる歌の中に、次のような歌詞がある。

“No se puede vivir con un franco.” 1フラン(フランスの貨幣単位)じゃ暮せやしない。(裏の意味は、フランコとかいう奴と一緒にゃ生きていけない。)

「青いシャツは色あせて・・・」 青シャツはファランヘ党(フランコ派)のシンボル。

フランコ時代に、しかも戦争終結直後という最も共和派への弾圧が厳しかった時期に、このような歌を舞台でうたうことが単に「目をつけられる」という程度で済まされたのは、彼が喜劇役者だったからか。それとも時代考証の誤りか。

作品の出来としては上質と言ってよい。スペイン戦争をテーマとしたものの中でもユニークな視点から描いている。政治から離れようとしているのに政治に巻き込まれてしまい、それでもなお日常の幸福を求める人々の姿。これが「普通の人」の暮らしで、実は「普通の人」を描くのが一番難しいのだろうが、これを「喜劇役者」という「普通の人」ではない生活で描いたのがこの作品の成功を生みだしているように思う。

por Andrés

Andres y Amelia映画・テレビエミリオ・アラゴン監督によるスペイン映画。原題は Pájaros de papel(小鳥の折り紙)。http://www.alcine-terran.com/paperbird/ スペイン戦争直後が舞台。戦争中、フランコ側の爆撃で妻子を失った喜劇役者のホルヘが1年ぶりで元の劇団に戻り、相方だったエンリケと再びコンビを組むが、エンリケが引き取った孤児のミゲルも加わることになる。はじめのうちホルヘは、亡くした息子を思い出させられるからか、ミゲルを受け入れようとしなかった。しかしホルヘを父親のように思い、懸命に芸を覚えて一人前の役者になろうとするミゲルとの交流で、三人は家族のようになって行く。一方、ホルヘは舞台でもフランコを皮肉るような言動をとり、当局から目をつけられることになる。 そこでうたわれる歌の中に、次のような歌詞がある。 “No se puede vivir con un franco.” 1フラン(フランスの貨幣単位)じゃ暮せやしない。(裏の意味は、フランコとかいう奴と一緒にゃ生きていけない。) 「青いシャツは色あせて・・・」 青シャツはファランヘ党(フランコ派)のシンボル。 フランコ時代に、しかも戦争終結直後という最も共和派への弾圧が厳しかった時期に、このような歌を舞台でうたうことが単に「目をつけられる」という程度で済まされたのは、彼が喜劇役者だったからか。それとも時代考証の誤りか。 作品の出来としては上質と言ってよい。スペイン戦争をテーマとしたものの中でもユニークな視点から描いている。政治から離れようとしているのに政治に巻き込まれてしまい、それでもなお日常の幸福を求める人々の姿。これが「普通の人」の暮らしで、実は「普通の人」を描くのが一番難しいのだろうが、これを「喜劇役者」という「普通の人」ではない生活で描いたのがこの作品の成功を生みだしているように思う。 por Andrés退職者夫婦の旅と日常(スペイン・旅・留学・巡礼・映画・思索・本・・・)