今年(2024年)のアカデミー長編アニメ映画賞受賞作。

英語タイトルはThe Boy and the Heron、つまり「少年と鷺」。

日本語タイトルの「君たちはどう生きるか」は、吉野源三郎の小説の題から来ているが、題名以外には共通点はほとんどない。映画の中で、主人公の少年に死んだ母親が残してくれた「君たちはどう生きるか」の本に母親の書き残したメッセージを見つける場面があるだけと言ってもいい。

映画は、母の死後に父が母の妹と再婚し、母の生家に移り住んでからの物語。そこでの鷺とともに繰り広げられる冒険物語だ。エディプスコンプレックス、新しい母への敵意、移転先の生活への違和。そうした感覚を背景に、少年は世界の創造主のようでもある「大叔父」に会い、「平和な世界」を託されそうになるのだが、それを拒否して「争いに満ちた」現実世界に戻る。

言わんとすることは分かるような気がするが、「君たちはどう生きるか」という修身の教科書にでも載っていそうな題と、宮崎アニメで何度も見てきたような場面の連続。二つの間でどうにも居心地の悪さを感じて、映画の世界に入り込めなかった。

引退を宣言して10年後に公開された作品だが、自己模倣が目につき、「引退を撤回すべきではなかった」というのは言い過ぎだろうか。

/images/2024/03/image-1-jpg.webp/images/2024/03/image-1-150x150.webpAndrés映画・テレビアカデミー賞,君たちはどう生きるか,宮崎駿今年(2024年)のアカデミー長編アニメ映画賞受賞作。 英語タイトルはThe Boy and the Heron、つまり「少年と鷺」。 日本語タイトルの「君たちはどう生きるか」は、吉野源三郎の小説の題から来ているが、題名以外には共通点はほとんどない。映画の中で、主人公の少年に死んだ母親が残してくれた「君たちはどう生きるか」の本に母親の書き残したメッセージを見つける場面があるだけと言ってもいい。 映画は、母の死後に父が母の妹と再婚し、母の生家に移り住んでからの物語。そこでの鷺とともに繰り広げられる冒険物語だ。エディプスコンプレックス、新しい母への敵意、移転先の生活への違和。そうした感覚を背景に、少年は世界の創造主のようでもある「大叔父」に会い、「平和な世界」を託されそうになるのだが、それを拒否して「争いに満ちた」現実世界に戻る。 言わんとすることは分かるような気がするが、「君たちはどう生きるか」という修身の教科書にでも載っていそうな題と、宮崎アニメで何度も見てきたような場面の連続。二つの間でどうにも居心地の悪さを感じて、映画の世界に入り込めなかった。 引退を宣言して10年後に公開された作品だが、自己模倣が目につき、「引退を撤回すべきではなかった」というのは言い過ぎだろうか。退職者夫婦の旅と日常(スペイン・旅・留学・巡礼・映画・思索・本・・・)