1969年制作の日本・キューバ合作作品。監督は黒木和雄、主演は津川雅彦。

新宿のバルト9で9月15~19日に開かれている第8回ラテンビート映画祭で上映された。

1968年、革命後10年のキューバを訪れた船員のアキラ。女にしか興味のないアキラは、ハバナの街を歩き回りながらひたすら女たちに声をかけて行く。やがて見かけたマルシアに恋し、サンティアゴ・デ・クーバ近くに帰郷する彼女について行く。葉巻工場で働きながら革命軍民兵でもあるマルシアは、ただの女好きにすぎないアキラを最初のうちは迷惑がるのだが、次第に愛し合うようにある。しかしマルシアは革命に生きることを選んで何処かへ出発してしまう。

革命の中で生きようとする人間と、日常の平穏や快楽を求める者とのすれ違い。ありふれた設定とありふれた結末。白黒画面と相俟って古さが目立つ作品だった。

非常に印象的だったのは、映し出される風景、ハバナやサンティアゴ・デ・クーバなどの町並みや人々の暮らしが、私たちが一昨年(2009年)に訪れた時のものとほとんど違わないこと。この40年間にはソ連崩壊などのキューバ経済を破滅させるような事件もあり、一方でベネズエラのチャベス政権からの支援もあって、キューバは大きく変化した。ハバナ旧市街のごく一部の修復された町並み、バラデロのリゾートホテル群、シエンフエゴスの整備された遊歩道など変化を実感できる場所もある。にもかかわらず、映像の中の変わらない風景から、今を「停滞」と断ずるのは易しいことなのだが。

por Andrés

Andres y Amelia映画・テレビ1969年制作の日本・キューバ合作作品。監督は黒木和雄、主演は津川雅彦。 新宿のバルト9で9月15~19日に開かれている第8回ラテンビート映画祭で上映された。 1968年、革命後10年のキューバを訪れた船員のアキラ。女にしか興味のないアキラは、ハバナの街を歩き回りながらひたすら女たちに声をかけて行く。やがて見かけたマルシアに恋し、サンティアゴ・デ・クーバ近くに帰郷する彼女について行く。葉巻工場で働きながら革命軍民兵でもあるマルシアは、ただの女好きにすぎないアキラを最初のうちは迷惑がるのだが、次第に愛し合うようにある。しかしマルシアは革命に生きることを選んで何処かへ出発してしまう。 革命の中で生きようとする人間と、日常の平穏や快楽を求める者とのすれ違い。ありふれた設定とありふれた結末。白黒画面と相俟って古さが目立つ作品だった。 非常に印象的だったのは、映し出される風景、ハバナやサンティアゴ・デ・クーバなどの町並みや人々の暮らしが、私たちが一昨年(2009年)に訪れた時のものとほとんど違わないこと。この40年間にはソ連崩壊などのキューバ経済を破滅させるような事件もあり、一方でベネズエラのチャベス政権からの支援もあって、キューバは大きく変化した。ハバナ旧市街のごく一部の修復された町並み、バラデロのリゾートホテル群、シエンフエゴスの整備された遊歩道など変化を実感できる場所もある。にもかかわらず、映像の中の変わらない風景から、今を「停滞」と断ずるのは易しいことなのだが。 por Andrés退職者夫婦の旅と日常(スペイン・旅・留学・巡礼・映画・思索・本・・・)