キリスト教の聖典とされている新約聖書は4世紀ごろに成立した。

つまり300年間にわたってキリスト教は聖典なしだったということだ。

新約聖書の多くの文書は、さまざまな時期に多くの人によって著されたもので、しかも著者名が記されているものもその人物の実体はよくわかっていない。

さらに新約聖書を構成している各文書の間には矛盾も多い。

このように不可解なところの多いものが、キリスト教会において聖典と決定されたのはなぜなのか。

この著作はこうした疑問に答えるべく新約聖書の成立史をまとめたものである。

幾度かの公会議を通して現在の聖書が決定されたが、例えば四福音書に記されているイエスの生涯も、一つの物語に編集して矛盾や異同を解消することができたはずだ。にもかかわらず、おそらくは敢えて矛盾を孕んだままに聖書を確定したのは、教会内のさまざまな潮流の存在からくる対立の激化を避けたかったからか。矛盾の存在がかえって聖書の真実性を増すと考えたからか。あるいはそもそも矛盾と捉えていなかったのか。

こうした疑問に答えてくれる部分もあったが、まだまだ全てを氷解させてくれものではなかった。

 

/images/2025/12/image.webp/images/2025/12/image-150x150.webpAndrés書籍・雑誌加藤隆キリスト教の聖典とされている新約聖書は4世紀ごろに成立した。 つまり300年間にわたってキリスト教は聖典なしだったということだ。 新約聖書の多くの文書は、さまざまな時期に多くの人によって著されたもので、しかも著者名が記されているものもその人物の実体はよくわかっていない。 さらに新約聖書を構成している各文書の間には矛盾も多い。 このように不可解なところの多いものが、キリスト教会において聖典と決定されたのはなぜなのか。 この著作はこうした疑問に答えるべく新約聖書の成立史をまとめたものである。 幾度かの公会議を通して現在の聖書が決定されたが、例えば四福音書に記されているイエスの生涯も、一つの物語に編集して矛盾や異同を解消することができたはずだ。にもかかわらず、おそらくは敢えて矛盾を孕んだままに聖書を確定したのは、教会内のさまざまな潮流の存在からくる対立の激化を避けたかったからか。矛盾の存在がかえって聖書の真実性を増すと考えたからか。あるいはそもそも矛盾と捉えていなかったのか。 こうした疑問に答えてくれる部分もあったが、まだまだ全てを氷解させてくれものではなかった。  退職者夫婦の旅と日常(スペイン・旅・留学・巡礼・映画・思索・本・・・)