あれから８年

東日本大震災、福島原発事故から８年が過ぎた。被災地の人々の多くは復興が思うように進んでいないと感じている。

復興が進まない主要な原因はオリンピックだろう。オリンピックに、招致時に公表されていた額を大幅に上回る予算がつぎ込まれている。一時は問題視されていたが、オリンピックが近づくにつれてお祭り騒ぎ一辺倒になってしまった。オリンピックに予算が回されることで、そうとは言われていないが復興予算は削られただろう。さらにオリンピック関連の土木建設工事のお陰で工事費は高騰し、復興予算は実質的には大幅に目減りしている。

もちろんいつものことながら、オリンピック予算の膨張についても、復興の遅れについても、福島原発の事故についても、誰も責任を取らない。当然だ。日本人の多くは為政者の責任を追及するなどということをしないのだから。

辺野古新基地の建設費が当初「想定」の数倍、数十倍になろうと、さらには全く役立たずのものになろうと、今年とされていた普天間の返還が何時になるか分からなくなろうと、大阪万博などという見当外れ時季外れの莫大な無駄遣いがやがて明らかになろうと、これまで通り責任を問われることはないのだから、権力者はその場限りの幻想を振りまいていられるのだ。

安倍首相は「民主党政権時代の悪夢」などと発言したが、福島原発事故の悪夢を生み出した原発推進政策の張本人である自民党政権については完全に無責任を決め込むだけでなく、再稼働を推進することで平気で悪夢を再現しようとしている。これも日本人の多くが彼らの責任を問わないからできることなのだ。

政治家にとって、権力者にとって日本はまさに天国。