村上春樹「1Q84」新潮文庫
単行本は2009年から2010年にかけて刊行。
文庫で全6冊という長編だが、すっと読み通せ、読み終えて残ったのは既視感だった。村上春樹の多くの作品に触れてきたが、「1Q84」はこれまでの作品のあれこれの結合であり、あれこれの作品の分岐であり、前編であり後日談であり、という印象だった。そう思いながらかつての春樹作品について記した文を探してみたら、2016年8月30日に「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」について以下の読後感が見つかった。
久しぶりに村上春樹の作品を手に取った。春樹ファンというわけではないので新刊が出るのを待ちわびて読むと言うほどではなかったが、同時代の似たような世界を生きてきた者への近しさもあって、かつてはほとんどの作品を読んだものだ。しかし何がきっかけということもなく10年ほど前から新刊を手に取ることはなくなっていた。今回この作品を手にしたのは、古書店に入ってみたものの読みたいと思える本がなく、暇つぶしのつもりで買ったという偶然に過ぎない。10年ぶりの村上春樹は、既読感ばかりが目に付くものだった。展開される物語も、筋の運びも、比喩も。みな何度も彼の作品で出会ったものばかりのような気がした。行き詰まりなのだろうか、老いなのだろうか。それを確認するためには近作をもう一つは読まなければならないだろう。
「1Q84」の読後感も全く同じだ。唯一付け加えれば、「老いなのだろうか」というのは春樹の老いと同時に私の老いも含めてのことだという点だけだ。
https://dosperegrinos.net/2021/04/11/%e6%9d%91%e4%b8%8a%e6%98%a5%e6%a8%b9%e3%80%8c1q84%e3%80%8d%e6%96%b0%e6%bd%ae%e6%96%87%e5%ba%ab/書籍・雑誌単行本は2009年から2010年にかけて刊行。 文庫で全6冊という長編だが、すっと読み通せ、読み終えて残ったのは既視感だった。村上春樹の多くの作品に触れてきたが、「1Q84」はこれまでの作品のあれこれの結合であり、あれこれの作品の分岐であり、前編であり後日談であり、という印象だった。そう思いながらかつての春樹作品について記した文を探してみたら、2016年8月30日に「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」について以下の読後感が見つかった。 久しぶりに村上春樹の作品を手に取った。春樹ファンというわけではないので新刊が出るのを待ちわびて読むと言うほどではなかったが、同時代の似たような世界を生きてきた者への近しさもあって、かつてはほとんどの作品を読んだものだ。しかし何がきっかけということもなく10年ほど前から新刊を手に取ることはなくなっていた。今回この作品を手にしたのは、古書店に入ってみたものの読みたいと思える本がなく、暇つぶしのつもりで買ったという偶然に過ぎない。10年ぶりの村上春樹は、既読感ばかりが目に付くものだった。展開される物語も、筋の運びも、比喩も。みな何度も彼の作品で出会ったものばかりのような気がした。行き詰まりなのだろうか、老いなのだろうか。それを確認するためには近作をもう一つは読まなければならないだろう。 「1Q84」の読後感も全く同じだ。唯一付け加えれば、「老いなのだろうか」というのは春樹の老いと同時に私の老いも含めてのことだという点だけだ。Andrés andres@nifty.comAdministratorDos Peregrinos
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