アーカイブ: 書籍・雑誌
池澤夏樹『ぼくたちが聖書について知りたかったこと』小学館文庫
まえがきは次のようにはじまっている。 信仰は魂に属するが、宗教は知識である。 (中略) 若い時からずっと、ぼくは宗教に強い関心を持ってきたが、その関心はついに哲学の範囲にとどまって信…
竹田青嗣『ニーチェ入門』ちくま新書
ニーチェに今日まで触れることなく来てしまったが、ポッドキャストの『ゆる哲学ラジオ』を聴いて少し興味を覚えて読んでみた。 ニーチェには一般に流布している印象を私も持っていて、「超人」だとか「ツアラトゥス…
ハルノ宵子『隆明だもの』晶文社
吉本隆明の長女が父親のことを書いたもの。隆明が主ではあるが、母や妹の吉本ばななも含めて、吉本家の暮らしが描かれている。隆明の著書からは全く推し測ることのできない暮らし、特に最晩年のほとんど失明状態だっ…
ラテン語さん『世界はラテン語でできている』SB新書
ラテン語の歴史を、ローマ時代から現代に至るまで、政治・宗教・科学との関わりを中心にたどり、さらに現在の世界や日本においてもラテン語がさまざまな形で生きているということを述べている。 西欧では今でも大学…
宮崎賢太郎『カクレキリシタン』長崎新聞新書
「カクレキリシタン」という言葉が誰を、何を指すものなのかをものなのかを説くことを通して、キリシタンの歴史を明らかにしている。 著者が示す歴史は以下の通りである。 1543年のキリスト教伝来から1614…
島田裕巳『教養としての宗教事件史』河出文庫
宗教学者の島田裕巳の著書で、宗教の発生から現在に至るまで、キリスト教、イスラム教、仏教をはじめとした主だった宗教、さらには日本の新興宗教、新宗教も含めて、日本人にとっていくらかでも関係のありそうな宗教…
田川建三『宗教とは何か[改訂増補版]上 宗教批判をめぐる』洋泉社
1984年発行の大和書房版『宗教とは何か』を上下二巻に分けて2006年に再発行したもの。 通りがかりの古書店でたまたま目について購入したもので、『マタイ福音書によせて』と題して同時に発行されている下巻…
「<問い>の読書術」大澤真幸(朝日新書)
書評集。2011年から2014年にかけて書かれたもので、扱われている著作は1977年刊行のものから2013年刊のものまで。というわけで中には時代遅れと感じざるを得ないものもあるが、2023年時点で読ん…
ポール・フルネル「編集者とタブレット」東京創元社
老編集者が原稿の束と格闘し馴染みのレストランでワインと食事を共にしながら著者と打ち合わせする生活から、コーラかビールとハンバーガーで暮らす若い人たちとタブレットに保存されたデータでやりとりするスタ…
ノンベルト・オーラー「巡礼の文化史」法政大学出版局
巡礼はさまざまな宗教に見られる行動で、イスラム教のメッカ巡礼、日本での四国巡礼、そしてもちろん本書で扱われているキリスト教でも盛んに行なわれた。しかもキリスト教でも三大聖地巡礼とされているエルサレム、…