「親鸞(上)」「親鸞(下)」「親鸞 激動篇(上)」「親鸞 激動篇(下)」「親鸞 完結篇(上)」「親鸞 完結篇(下)」と6冊に及んだ長編。最初の巻を読み始めたのは2012年で、古書で入手できるのを待ってきたので、読み終えるのに10年以上かかってしまった。

親鸞の生涯を描いたものだが、伝記ではなく、あくまで小説であり、内容からすると伝奇小説というのが妥当だろう。それでも最終部では親鸞の息子への対応、娘への対応、東国の念仏者への対応等を通して、親鸞の思想が描かれている。それも浄土真宗の開祖としてではなく、念仏のみで救われるということを深めながら、どのようにして人々に理解してもらえるかに苦悩しながら取り組む姿、そして自分の死を淡々と受け入れて行く姿、こうしたことを通して親鸞思想のごく自然な理解を促す作品だ。当然のことだが、教化や伝道の書ではないので、妙な説教臭さがないのも読後にある種のすがすがしさを感じさせてくれた。

/images/2023/04/f49be06206dcd4536b26d25e6ef291fa-700x932.jpg/images/2023/04/f49be06206dcd4536b26d25e6ef291fa-150x150.jpgAndrés書籍・雑誌五木寛之,親鸞「親鸞(上)」「親鸞(下)」「親鸞 激動篇(上)」「親鸞 激動篇(下)」「親鸞 完結篇(上)」「親鸞 完結篇(下)」と6冊に及んだ長編。最初の巻を読み始めたのは2012年で、古書で入手できるのを待ってきたので、読み終えるのに10年以上かかってしまった。 親鸞の生涯を描いたものだが、伝記ではなく、あくまで小説であり、内容からすると伝奇小説というのが妥当だろう。それでも最終部では親鸞の息子への対応、娘への対応、東国の念仏者への対応等を通して、親鸞の思想が描かれている。それも浄土真宗の開祖としてではなく、念仏のみで救われるということを深めながら、どのようにして人々に理解してもらえるかに苦悩しながら取り組む姿、そして自分の死を淡々と受け入れて行く姿、こうしたことを通して親鸞思想のごく自然な理解を促す作品だ。当然のことだが、教化や伝道の書ではないので、妙な説教臭さがないのも読後にある種のすがすがしさを感じさせてくれた。退職者夫婦の旅と日常(スペイン・旅・留学・巡礼・映画・思索・本・・・)