映画「ミツバチのささやき」・「エル・スール」
早稲田松竹で映画「ミツバチのささやき」原題 “El Espíritu de la Colmena” と「エル・スール」原題”El Sur”を観た。ともにビクトル・エリセ監督のスペイン映画。
「ミツバチのささやき」は1973年の制作だが、日本初公開は1985年。「エル・スール」は1983年制作で、日本公開はやはり1985年。その際に観たので、もう30年以上も前になるが、細部に至るまでよく憶えていた。それほど印象的だったということだ。しかし作品から受けた意味合はずい分違ったように思う。昔観た時は、暗にフランコ独裁を批判し共和派寄りの立場を示したものと受け取った。しかし今回は、もちろん反フランコの雰囲気がわずかには伝わるものの、メインのテーマは別だと思われた。
「ミツバチのささやき」は幼女から少女への変化を描いたもので、アナはまさにその変化の入口に入ろうとしているところ、姉のイサベルは変化し終えようとしているところ。
「エル・スール」は少女から大人の女性への変化を描いたもの。エストゥレージャは父親の秘密を知る中で大人に変わろうとしている。こちらはスペイン戦争が重要な背景になっているが、これは制作年の違いからくるのだろうか。「ミツバチのささやき」はフランコ独裁下で、「エル・スール」は民主化後の作品だから、時代の影響を強く受けるのは当然だろう。
エリセ監督は1992年に「マルメロの陽光」を制作したが、その後は長編映画を撮っていない。今回観た2作品は特に好きなものなので彼の新作を期待したい気持ちもあるが、この2作を越えるものは不可能に近いような気もする。
早稲田松竹は2本立てで途中外出もできる。当日は午前の回で「ミツバチのささやき」を観、外出して昼食をとり、早稲田通りの古本屋を巡ってみた。20年ぶりぐらいだろうか。古本屋は少し減ったような気もするが、新しい店は全くなかった。一方、品ぞろえを大幅に変えた店もあった。昔はごく普通の古本を並べていて、他店よりも安い値付けをすることが多かったのでよく利用した店が、赤本専門店になっていたのには驚いた。わずかに残っていた古本の中から3冊手に取ったら、値はついておらず、「まとめて500円でいいよ」とのことだった。安さだけは変わっていなかった。映画館に戻って「エル・スール」を観た。2本立てでも続けて観るより間を空けた方が、切り替えができて良かった。
https://dosperegrinos.net/2019/06/15/%e6%98%a0%e7%94%bb%e3%80%8c%e3%83%9f%e3%83%84%e3%83%90%e3%83%81%e3%81%ae%e3%81%95%e3%81%95%e3%82%84%e3%81%8d%e3%80%8d%e3%83%bb%e3%80%8c%e3%82%a8%e3%83%ab%e3%83%bb%e3%82%b9%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%80%8d/日記・コラム・つぶやき映画・テレビ早稲田松竹で映画「ミツバチのささやき」原題 'El Espíritu de la Colmena' と「エル・スール」原題'El Sur'を観た。ともにビクトル・エリセ監督のスペイン映画。「ミツバチのささやき」は1973年の制作だが、日本初公開は1985年。「エル・スール」は1983年制作で、日本公開はやはり1985年。その際に観たので、もう30年以上も前になるが、細部に至るまでよく憶えていた。それほど印象的だったということだ。しかし作品から受けた意味合はずい分違ったように思う。昔観た時は、暗にフランコ独裁を批判し共和派寄りの立場を示したものと受け取った。しかし今回は、もちろん反フランコの雰囲気がわずかには伝わるものの、メインのテーマは別だと思われた。「ミツバチのささやき」は幼女から少女への変化を描いたもので、アナはまさにその変化の入口に入ろうとしているところ、姉のイサベルは変化し終えようとしているところ。「エル・スール」は少女から大人の女性への変化を描いたもの。エストゥレージャは父親の秘密を知る中で大人に変わろうとしている。こちらはスペイン戦争が重要な背景になっているが、これは制作年の違いからくるのだろうか。「ミツバチのささやき」はフランコ独裁下で、「エル・スール」は民主化後の作品だから、時代の影響を強く受けるのは当然だろう。エリセ監督は1992年に「マルメロの陽光」を制作したが、その後は長編映画を撮っていない。今回観た2作品は特に好きなものなので彼の新作を期待したい気持ちもあるが、この2作を越えるものは不可能に近いような気もする。早稲田松竹は2本立てで途中外出もできる。当日は午前の回で「ミツバチのささやき」を観、外出して昼食をとり、早稲田通りの古本屋を巡ってみた。20年ぶりぐらいだろうか。古本屋は少し減ったような気もするが、新しい店は全くなかった。一方、品ぞろえを大幅に変えた店もあった。昔はごく普通の古本を並べていて、他店よりも安い値付けをすることが多かったのでよく利用した店が、赤本専門店になっていたのには驚いた。わずかに残っていた古本の中から3冊手に取ったら、値はついておらず、「まとめて500円でいいよ」とのことだった。安さだけは変わっていなかった。映画館に戻って「エル・スール」を観た。2本立てでも続けて観るより間を空けた方が、切り替えができて良かった。Andrés andres@nifty.comAdministratorDos Peregrinos
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