8/25(水)

18:50

一昨日(23日)朝8時に起床。宿で朝食後、9時過ぎに出発。カタルーニャ広場からメトロでエスパーニャ広場へ行き、そこから出ているFCC という私鉄の電車でモンセラートに行こうというつもり。FCC の窓口に着いてみるとモンセラートまで行く電車は2時間に一本しかなく、次の発車は11時10分。

しかも切符は10時45分からしか売らないと言うので、しばらく地上に出て広場から少しモンジュイック丘へ向かったベンチに座り、日記を書いて時間を潰す。10時50分頃にFCCの窓口に行き、モンセラートまでの電車の往復と、ロープウェイの往復乗車券のセットになったものを買い、ホームに下りる。もう電車が来ているので早速乗り込む。定刻に発車。しばらく地下を走ってから地上に出ると、そこはバルセロナ郊外の新興住宅地(団地)といった感じのところ。バルセロナに近い方の駅にはほとんどで停車せずに走り、やがて単線になったところで10分以上も停車して上り電車の来るのを待つ。それからは各駅に停まり、徐々に山間部に入り、トンネルをいくつか抜けて、アエリ・デ・モンセラートの駅に着く。電車はもっと先の方にまで行くが、多くの客がここで降り、駅のすぐ隣のロープウェイ乗り場へ行く。見上げると太いこん棒が何本も並んで立て掛けられているような岩山の中腹に、モンセラート修道院の建物がへばりついている。

ロープウェイのロープは、その修道院の方向へ遠く伸びている。やがてロープウェイに乗り込み、出発。 これは比較的大きなもので2~30人ぐらい乗る。あまり揺れないので、茶色く濁った川を遥か下に見下ろして行っても、全く怖くはない。

19:05

 

20:10

(続)ロープウェイを降りて階段を上るとそこには多数の車と観光バスが来ている。インフォメーションで本を買うと、そこの男がもうすぐ聖歌隊の歌が始まるからそれを聞いてからケーブルカーでさらに上行けば良いというようなことを言う。1時からだというので聖堂へ急ぐ。 もう堂内の座席はいっぱいなっているので右の方の壁際に行って待つ。その後も入場者はどんどん増え、左右の通路もいっぱいになる。1時に始まる。まず神父がスペイン語・フランス語・英語・ドイツ語等の数ヶ国語で何かを説明し、その後、少年聖歌隊が正面祭壇に入場。パイプオルガンの伴奏で賛美歌が歌われる。一曲歌い、次は全員起立して聴衆も一緒に歌う。ほんの15分ほどで席を立った人がいたので、そこへ行って座ると、もう終わりで聖歌隊は退場。これは短すぎた。しかし聖堂内に歌声が美しく響き、7月に中野サンプラザで聴いたものとは全く違う印象を受けた。やはり教会で歌うように普段から訓練されているからであろう。

そこから少し歩いてケーブルカーに乗る。急角度で山を登り、修道院よりもずっと高いところまで行く。ケーブルカーを降りたところから緩い上り坂を20分ほど歩いたところにレストランがあり、そこまで行ってみる。

下の方を見渡すと、はるか遠くにバルセロナの郊外であろう街並みが見えるが、かすんでいてあまり見通しは良くなく、ときどき雲が流れてきてはそんな景色まで隠してしまう。標高1000mMぐらいまで登ったのだろうか。再びケーブルカーで修道院のある辺りまで下り、ちょっと歩いてセルフサービスのレストランに入る。ちょうど昼食時で多数の人が並んでいる。結局、私たちはこの行列の最後尾の方になってしまった。食べ物を受け取るまでに時間がかかってしまったので、少し急いで食べて外に出る。

修道院の方へ戻る途中、道路から上を見ると運動場では聖歌隊の少年であろうか、サッカーをして遊んでいるのが見え、また建物の窓には少年のバイオリンを練習する姿が見える。

修道院へ戻ってMUSEOを見学する。展示品は多いがあまり見るべきものはない。一通り見終わってから外に出たところで、ここにはヨーロッパに三つしかないという黒マリアの像のうちの一つがあるということを思い出し、聖堂へ行く。1時頃にはたくさんの人が並んでいたが、この頃には観光バスで来た人々がほとんど引き返した後なので、全く並ばずに祭壇の裏に回って黒マリアを見ることができる。

マリアはキリストを左手で抱き、右手には金色の玉を持っている。全体がガラスで覆われている中で、この玉の部分だけがガラスの外に出されており、見学に来た人々は次々にこの玉に口付けしていく。

ロープウェイの駅へ急ぐと、まだ少し早かったらしく待合室で待たされる。10数分待ってロープウェイに乗って下へ降り、 FCC の駅。

20:40

 

22:35

(続)FCC の電車は17時20分発の予定が大幅に遅れて、17時45分になってやっと来て帰途につく。遅れを取り戻すためなのか、それとも下り坂であるためなのかは分からないが、この電車が猛烈にスピードを上げ、そのため車体は激しい横揺れ。私たちは車両の終端の進行方向と直角に座る座席にいたため、身体を前後に揺すられ、気をつけないと座席から落ちたり、あるいは頭や肩を窓ガラスにぶつけたりする恐れがある。この揺れに車内のあちこちから驚きと笑いの声が上がり、窓を隔てた後ろの車両の男女二人の子供達は大喜び。女の子の方はいたずらっ子らしく、駅に停車している時には兄らしい男の子の足を持ち上げて、私たちの方に示して笑いかけてきたりしていた。この激しい揺れのため、疲れて帰りの電車は眠って行こうと思っていたのに、ほとんど眠れず、バルセローナに近づいて少しスピードが落ちてからほんの少しウトウトできただけ。よくあれで脱線しないものだ。

18時50分にPl.España着。メトロでPl.Cataluñaに出、宿に帰る途中の食料品店で飲み物(水・KASビター)とパンを買う。この食料品店はハム・肉も売っているのだが、客の求めに応じてハムを切るので、売るのに非常に時間がかかっている。

20時30分に宿に帰り着く。買ってきたものを食べたり飲んだりして夕食代りにしようと考える。紅茶を沸かそうと配偶者が電熱器をコンセントに差し込んだところ、ヒューズが切れて停電。各部屋ごとにヒューズをつけているらしく、他の部屋には影響が無い。前日までは電熱器をつけても何ともなかったが、おそらくギリギリだったのだろう。仕方なく宿の主人を呼ぶと、こういうことには慣れているらしく、すぐに梯子を持ってきて部屋の天井付近の配線途中にあるヒューズを換えてくれる。コンセントは電気カミソリ程度しかだめとのこと。電気をあまりたくさん使わないように工夫しているのだろう。宿泊費の安さを考えればこれも仕方のないこと。また電熱器でヒューズを切ったら悪いので、紅茶は諦めて買ってきた飲み物だけで我慢することにする。KASビターは広告やカフェで多くの人が飲んでいるのでを見て一度試してみようと思っていたものだが、飲んでみると変な味がして、一本飲み終えはしたものの、また飲もうとは思えない代物。

こうしているうちに空に稲妻が走り、9時半頃雷とともに激しい雨が降り始める。ラ・コルーニャ以来の雨。そして前回今回を通じて初めての激しい雨。窓から見ると向かい側の建物の壁からは消火栓のように水が吹き出し、下の道では水しぶきがあり、歩行者は一人もいなくなっている。夕立だと思うが、結構長い時間激しく降り続く。スペインの激しい雨に会えて嬉しくなる。

宿のシャワーを使ってスッキリする。あまり暑くはなく、汗もそんなにかいていなかったのだが。雨は2時間程でやむ。

日記を書いてから、就寝は0時40分になってしまう。

23:10

 

23:20

昨日(24日)はちょっと寝坊して9時に起床。洗顔を済ませ食堂へ行ったのは9時40分頃。入口の横を見てみると朝食は9時半までと書いてあるが、宿の主人は快く食べさせてくれる。10時10分に宿を出てツーリスモへ向う。ブルーガイドの地図によるとPl.Cataluñaのちょっと手前にもツーリスモがあるように記されているが、探してもないので前回にも行ったPl.Cataluñaから歩いて10分ぐらいの所へ行く。バルセローナの詳しい地図をもらい、ツールーズ行きのバス会社の場所を聞く。ポスターがいくつかあったので良いものを選びもらってくる。Pl.Cataluñaへ戻る途中の銀行で200ドル換金し、メトロでPl.Españaへ行き、階段を上り、前々日の噴水よりさらに上のカタルーニャ美術館へ行く。行ってみると噴水ショーの時に後光が差したあの宮殿風の建物がそれ。入ってみると、カタルーニャ各地の古い教会から集められたロマネスク絵画の一大展示場。壁画を剥がして移したもので、教会の祭壇画がほとんどだが、元あった教会の壁や天井のカーブに合わせて館内の壁にカーブを付けて移してある。単なる絵画や彫刻の展示と違い、建物自体からそのために作って行かなければならないのだから、その労力たるや大変なものだと感心する。その他ルネサンスや近代の絵画類もあり、グレコやムリーリョもある。また石柱やセラミックも展示されている。2時間ほど見て回る。この美術館は14時までしか開いていないので、午前中に来れてよかった。

13時半に出て丘を下り、Pl.Españaの近くまで戻ってレストランに入る。入口のメニューを見て入ったが、出されたメニューを見ると4本フォークで入り口に貼り出されていたMENU DE LA CASAなどはない。ボーイに言うとそれは隣だというので隣のセルフサービスの店の方へ移って昼食。昼食後、側の公園の木陰のベンチで休憩。横になって昼寝をするが、前日の雨のためか、あるいはもう秋なのか吹く風は冷たく、肌寒いほど。昼寝をしたり、レストランから持ってきた余ったパンや、その前に駅で買ったピーナッツをハトにやったりして4時過ぎまで休む。

ハトにパンなどを投げるとまず一羽か二羽が寄ってきて、それを合図に数十羽のハトが一斉に集まってくる。エサをやらなくなるとすぐに他の場所へ行ってしまう。ピーナッツをやった時、一羽の黒っぽいハトがなかなか食べられず、マメをクチバシでつついては他のハトに横取りされる。あまりに動きが遅いので他のハトが離れた時に、このハトにだけエサをやるようにした結果、やっとピーナッツを食べられるようになる。これで私達になついたのか、エサがなくなってからも私たちの足もとにしばらくウロウロして靴をつついたりした。

4時過ぎになってミロ美術館へ向かう。カタルーニャ美術館の前まで丘を登り、そこから左の方へしばらく歩いたところにある現代的建物。

ミロの絵は子供っぽい印象があって見ていて楽しくなる。これまでにも見たことのあるようなものの他に、ぼろ布にロープを通したもの、太い毛糸で編んだ2階まで届く壁一面のもの等。

またセラミックや庭には彫刻もいくつか展示されている。また奇妙な動物のぬいぐるみもあり、その側のテレビではこれを使った舞台劇の模様が放映されている。1時間ぐらいの長いもので、半分ぐらい見るが話の筋はよくわからないまでも、何か悲喜劇的なもの。2階にはコンクールでもやったのか、多数の各国の画家の作品が展示され、日本人のものも多く見られる。

一通り見終えて売店でカタログと紙を切って組み立てるものを買う。さらにちょっと高いが900ペセタでミロの絵のポスターも買う。これは硬い紙の筒に入れてくれたので、他のポスターとともに持ち帰るのに助かる。

1回ゆっくり見た後、もう一度ミロだけを見て回る。この日はミロを見れたことで満足した気持ちになれる。

19時にミロ美術館を出て、元来た道をPl. Españaへ戻り、メトロでPl. Universidadへ行く。ここにトゥールーズ行きバスの発着所があるとのことなので、もう事務所は閉まっているだろうが、時刻表でも出ていたら見てみようと思ったので行く。しかし事務所の場所がわからない。広場に長距離バスが停まっていて、ちょうど運転手が降りて歩き出したので、この人の後をつけていけば事務所に着くだろうと思ってついていく。しかしこの人はすぐにメトロに入って行ってしまって失敗。見るともう一台長距離バスが停まっており、そのバスと同じ名の事務所が広場に面してある。事務所に行ってみると、もちろんもう閉まってはいるが、表に値段表が出ていてトゥールーズ行きもあることがわかる。翌日来ることにして歩いて宿へ向かう。

宿には20時50分着。買ってきた本やポスターを置き、少し休んでからまた外出する。近くのバルでビールを飲みながら、小魚のフライ・ナスのフライ・豆の煮物をつまみに夕食とする。それから近くの映画館に入る。一人250ペセタと安く、椅子は例によってふかふかの気持ち良いもの。22時30分からコマーシャル一本、タイの街の風景を写したもの一本をやり、40分から「ラ・プロキシマ・エスタシオン」という映画がはじまる。映画館の前に貼られたスチール写真では恋愛映画のように見えたが、始まってみると喜劇のような感じ。筋は十代の女の子が家出して男の子の家へ転がり込み、そこの両親をてんてこまいさせ、やがては男の子も一緒に家出していくというもので、日本のテレビのホームドラマにありそうなもの。観客はあまり多くないが、映画の最中よく笑う。言葉はほとんど分からないが、見ていて分かるほど単純なもの。女の子がジャリ歌手のようで、彼女のために作ったような映画。くだらない映画ではあるが、スペイン映画、スペイン人家庭の現状がいくらかわかっただけでも収穫であった。

12時ちょうどに映画は終わり、宿に帰って眠ったのは1時頃だった。

00:20

 

/images/2024/04/08-23 Montserraの黒マリア-700x1044.webp/images/2024/04/08-23 Montserraの黒マリア-150x150.webpAndrésスペイン旅行8/25(水) 18:50 一昨日(23日)朝8時に起床。宿で朝食後、9時過ぎに出発。カタルーニャ広場からメトロでエスパーニャ広場へ行き、そこから出ているFCC という私鉄の電車でモンセラートに行こうというつもり。FCC の窓口に着いてみるとモンセラートまで行く電車は2時間に一本しかなく、次の発車は11時10分。 しかも切符は10時45分からしか売らないと言うので、しばらく地上に出て広場から少しモンジュイック丘へ向かったベンチに座り、日記を書いて時間を潰す。10時50分頃にFCCの窓口に行き、モンセラートまでの電車の往復と、ロープウェイの往復乗車券のセットになったものを買い、ホームに下りる。もう電車が来ているので早速乗り込む。定刻に発車。しばらく地下を走ってから地上に出ると、そこはバルセロナ郊外の新興住宅地(団地)といった感じのところ。バルセロナに近い方の駅にはほとんどで停車せずに走り、やがて単線になったところで10分以上も停車して上り電車の来るのを待つ。それからは各駅に停まり、徐々に山間部に入り、トンネルをいくつか抜けて、アエリ・デ・モンセラートの駅に着く。電車はもっと先の方にまで行くが、多くの客がここで降り、駅のすぐ隣のロープウェイ乗り場へ行く。見上げると太いこん棒が何本も並んで立て掛けられているような岩山の中腹に、モンセラート修道院の建物がへばりついている。 ロープウェイのロープは、その修道院の方向へ遠く伸びている。やがてロープウェイに乗り込み、出発。 これは比較的大きなもので2~30人ぐらい乗る。あまり揺れないので、茶色く濁った川を遥か下に見下ろして行っても、全く怖くはない。 19:05   20:10 (続)ロープウェイを降りて階段を上るとそこには多数の車と観光バスが来ている。インフォメーションで本を買うと、そこの男がもうすぐ聖歌隊の歌が始まるからそれを聞いてからケーブルカーでさらに上行けば良いというようなことを言う。1時からだというので聖堂へ急ぐ。 もう堂内の座席はいっぱいなっているので右の方の壁際に行って待つ。その後も入場者はどんどん増え、左右の通路もいっぱいになる。1時に始まる。まず神父がスペイン語・フランス語・英語・ドイツ語等の数ヶ国語で何かを説明し、その後、少年聖歌隊が正面祭壇に入場。パイプオルガンの伴奏で賛美歌が歌われる。一曲歌い、次は全員起立して聴衆も一緒に歌う。ほんの15分ほどで席を立った人がいたので、そこへ行って座ると、もう終わりで聖歌隊は退場。これは短すぎた。しかし聖堂内に歌声が美しく響き、7月に中野サンプラザで聴いたものとは全く違う印象を受けた。やはり教会で歌うように普段から訓練されているからであろう。 そこから少し歩いてケーブルカーに乗る。急角度で山を登り、修道院よりもずっと高いところまで行く。ケーブルカーを降りたところから緩い上り坂を20分ほど歩いたところにレストランがあり、そこまで行ってみる。 下の方を見渡すと、はるか遠くにバルセロナの郊外であろう街並みが見えるが、かすんでいてあまり見通しは良くなく、ときどき雲が流れてきてはそんな景色まで隠してしまう。標高1000mMぐらいまで登ったのだろうか。再びケーブルカーで修道院のある辺りまで下り、ちょっと歩いてセルフサービスのレストランに入る。ちょうど昼食時で多数の人が並んでいる。結局、私たちはこの行列の最後尾の方になってしまった。食べ物を受け取るまでに時間がかかってしまったので、少し急いで食べて外に出る。 修道院の方へ戻る途中、道路から上を見ると運動場では聖歌隊の少年であろうか、サッカーをして遊んでいるのが見え、また建物の窓には少年のバイオリンを練習する姿が見える。 修道院へ戻ってMUSEOを見学する。展示品は多いがあまり見るべきものはない。一通り見終わってから外に出たところで、ここにはヨーロッパに三つしかないという黒マリアの像のうちの一つがあるということを思い出し、聖堂へ行く。1時頃にはたくさんの人が並んでいたが、この頃には観光バスで来た人々がほとんど引き返した後なので、全く並ばずに祭壇の裏に回って黒マリアを見ることができる。 マリアはキリストを左手で抱き、右手には金色の玉を持っている。全体がガラスで覆われている中で、この玉の部分だけがガラスの外に出されており、見学に来た人々は次々にこの玉に口付けしていく。 ロープウェイの駅へ急ぐと、まだ少し早かったらしく待合室で待たされる。10数分待ってロープウェイに乗って下へ降り、 FCC の駅。 20:40   22:35 (続)FCC の電車は17時20分発の予定が大幅に遅れて、17時45分になってやっと来て帰途につく。遅れを取り戻すためなのか、それとも下り坂であるためなのかは分からないが、この電車が猛烈にスピードを上げ、そのため車体は激しい横揺れ。私たちは車両の終端の進行方向と直角に座る座席にいたため、身体を前後に揺すられ、気をつけないと座席から落ちたり、あるいは頭や肩を窓ガラスにぶつけたりする恐れがある。この揺れに車内のあちこちから驚きと笑いの声が上がり、窓を隔てた後ろの車両の男女二人の子供達は大喜び。女の子の方はいたずらっ子らしく、駅に停車している時には兄らしい男の子の足を持ち上げて、私たちの方に示して笑いかけてきたりしていた。この激しい揺れのため、疲れて帰りの電車は眠って行こうと思っていたのに、ほとんど眠れず、バルセローナに近づいて少しスピードが落ちてからほんの少しウトウトできただけ。よくあれで脱線しないものだ。 18時50分にPl.España着。メトロでPl.Cataluñaに出、宿に帰る途中の食料品店で飲み物(水・KASビター)とパンを買う。この食料品店はハム・肉も売っているのだが、客の求めに応じてハムを切るので、売るのに非常に時間がかかっている。 20時30分に宿に帰り着く。買ってきたものを食べたり飲んだりして夕食代りにしようと考える。紅茶を沸かそうと配偶者が電熱器をコンセントに差し込んだところ、ヒューズが切れて停電。各部屋ごとにヒューズをつけているらしく、他の部屋には影響が無い。前日までは電熱器をつけても何ともなかったが、おそらくギリギリだったのだろう。仕方なく宿の主人を呼ぶと、こういうことには慣れているらしく、すぐに梯子を持ってきて部屋の天井付近の配線途中にあるヒューズを換えてくれる。コンセントは電気カミソリ程度しかだめとのこと。電気をあまりたくさん使わないように工夫しているのだろう。宿泊費の安さを考えればこれも仕方のないこと。また電熱器でヒューズを切ったら悪いので、紅茶は諦めて買ってきた飲み物だけで我慢することにする。KASビターは広告やカフェで多くの人が飲んでいるのでを見て一度試してみようと思っていたものだが、飲んでみると変な味がして、一本飲み終えはしたものの、また飲もうとは思えない代物。 こうしているうちに空に稲妻が走り、9時半頃雷とともに激しい雨が降り始める。ラ・コルーニャ以来の雨。そして前回今回を通じて初めての激しい雨。窓から見ると向かい側の建物の壁からは消火栓のように水が吹き出し、下の道では水しぶきがあり、歩行者は一人もいなくなっている。夕立だと思うが、結構長い時間激しく降り続く。スペインの激しい雨に会えて嬉しくなる。 宿のシャワーを使ってスッキリする。あまり暑くはなく、汗もそんなにかいていなかったのだが。雨は2時間程でやむ。 日記を書いてから、就寝は0時40分になってしまう。 23:10   23:20 昨日(24日)はちょっと寝坊して9時に起床。洗顔を済ませ食堂へ行ったのは9時40分頃。入口の横を見てみると朝食は9時半までと書いてあるが、宿の主人は快く食べさせてくれる。10時10分に宿を出てツーリスモへ向う。ブルーガイドの地図によるとPl.Cataluñaのちょっと手前にもツーリスモがあるように記されているが、探してもないので前回にも行ったPl.Cataluñaから歩いて10分ぐらいの所へ行く。バルセローナの詳しい地図をもらい、ツールーズ行きのバス会社の場所を聞く。ポスターがいくつかあったので良いものを選びもらってくる。Pl.Cataluñaへ戻る途中の銀行で200ドル換金し、メトロでPl.Españaへ行き、階段を上り、前々日の噴水よりさらに上のカタルーニャ美術館へ行く。行ってみると噴水ショーの時に後光が差したあの宮殿風の建物がそれ。入ってみると、カタルーニャ各地の古い教会から集められたロマネスク絵画の一大展示場。壁画を剥がして移したもので、教会の祭壇画がほとんどだが、元あった教会の壁や天井のカーブに合わせて館内の壁にカーブを付けて移してある。単なる絵画や彫刻の展示と違い、建物自体からそのために作って行かなければならないのだから、その労力たるや大変なものだと感心する。その他ルネサンスや近代の絵画類もあり、グレコやムリーリョもある。また石柱やセラミックも展示されている。2時間ほど見て回る。この美術館は14時までしか開いていないので、午前中に来れてよかった。 13時半に出て丘を下り、Pl.Españaの近くまで戻ってレストランに入る。入口のメニューを見て入ったが、出されたメニューを見ると4本フォークで入り口に貼り出されていたMENU DE LA CASAなどはない。ボーイに言うとそれは隣だというので隣のセルフサービスの店の方へ移って昼食。昼食後、側の公園の木陰のベンチで休憩。横になって昼寝をするが、前日の雨のためか、あるいはもう秋なのか吹く風は冷たく、肌寒いほど。昼寝をしたり、レストランから持ってきた余ったパンや、その前に駅で買ったピーナッツをハトにやったりして4時過ぎまで休む。 ハトにパンなどを投げるとまず一羽か二羽が寄ってきて、それを合図に数十羽のハトが一斉に集まってくる。エサをやらなくなるとすぐに他の場所へ行ってしまう。ピーナッツをやった時、一羽の黒っぽいハトがなかなか食べられず、マメをクチバシでつついては他のハトに横取りされる。あまりに動きが遅いので他のハトが離れた時に、このハトにだけエサをやるようにした結果、やっとピーナッツを食べられるようになる。これで私達になついたのか、エサがなくなってからも私たちの足もとにしばらくウロウロして靴をつついたりした。 4時過ぎになってミロ美術館へ向かう。カタルーニャ美術館の前まで丘を登り、そこから左の方へしばらく歩いたところにある現代的建物。 ミロの絵は子供っぽい印象があって見ていて楽しくなる。これまでにも見たことのあるようなものの他に、ぼろ布にロープを通したもの、太い毛糸で編んだ2階まで届く壁一面のもの等。 またセラミックや庭には彫刻もいくつか展示されている。また奇妙な動物のぬいぐるみもあり、その側のテレビではこれを使った舞台劇の模様が放映されている。1時間ぐらいの長いもので、半分ぐらい見るが話の筋はよくわからないまでも、何か悲喜劇的なもの。2階にはコンクールでもやったのか、多数の各国の画家の作品が展示され、日本人のものも多く見られる。 一通り見終えて売店でカタログと紙を切って組み立てるものを買う。さらにちょっと高いが900ペセタでミロの絵のポスターも買う。これは硬い紙の筒に入れてくれたので、他のポスターとともに持ち帰るのに助かる。 1回ゆっくり見た後、もう一度ミロだけを見て回る。この日はミロを見れたことで満足した気持ちになれる。 19時にミロ美術館を出て、元来た道をPl. Españaへ戻り、メトロでPl. Universidadへ行く。ここにトゥールーズ行きバスの発着所があるとのことなので、もう事務所は閉まっているだろうが、時刻表でも出ていたら見てみようと思ったので行く。しかし事務所の場所がわからない。広場に長距離バスが停まっていて、ちょうど運転手が降りて歩き出したので、この人の後をつけていけば事務所に着くだろうと思ってついていく。しかしこの人はすぐにメトロに入って行ってしまって失敗。見るともう一台長距離バスが停まっており、そのバスと同じ名の事務所が広場に面してある。事務所に行ってみると、もちろんもう閉まってはいるが、表に値段表が出ていてトゥールーズ行きもあることがわかる。翌日来ることにして歩いて宿へ向かう。 宿には20時50分着。買ってきた本やポスターを置き、少し休んでからまた外出する。近くのバルでビールを飲みながら、小魚のフライ・ナスのフライ・豆の煮物をつまみに夕食とする。それから近くの映画館に入る。一人250ペセタと安く、椅子は例によってふかふかの気持ち良いもの。22時30分からコマーシャル一本、タイの街の風景を写したもの一本をやり、40分から「ラ・プロキシマ・エスタシオン」という映画がはじまる。映画館の前に貼られたスチール写真では恋愛映画のように見えたが、始まってみると喜劇のような感じ。筋は十代の女の子が家出して男の子の家へ転がり込み、そこの両親をてんてこまいさせ、やがては男の子も一緒に家出していくというもので、日本のテレビのホームドラマにありそうなもの。観客はあまり多くないが、映画の最中よく笑う。言葉はほとんど分からないが、見ていて分かるほど単純なもの。女の子がジャリ歌手のようで、彼女のために作ったような映画。くだらない映画ではあるが、スペイン映画、スペイン人家庭の現状がいくらかわかっただけでも収穫であった。 12時ちょうどに映画は終わり、宿に帰って眠ったのは1時頃だった。 00:20  退職者夫婦の旅と日常(スペイン・旅・留学・巡礼・映画・思索・本・・・)